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デビュー50周年の郷ひろみ66歳が『お嫁サンバ』に覚えた強烈な違和感「意味がわからない、これはないよ!」

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「“郷ひろみ”はジャニーさんが見つけてくれた天職です」。「文藝春秋」2022年5月号より、歌手の郷ひろみさんによる手記を全文転載します。(全2回の1回目/後編に続く)

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今までずっと「郷ひろみ」

 今年は僕の「50周年イヤー」と銘打っています。

 1972年8月に、『男の子女の子』でレコードデビューしました。ただ、前年の71年にはフォーリーブスに盛り上げてもらい、ステージに立ったり、ファンクラブが設立されたりしていました。72年始めには大河ドラマで俳優デビューも果たしています。どこを指して僕のデビューと言うのかは、実は自分でも曖昧です。

郷ひろみさん

 これは僕の肩書が何か、という話にも通じます。アイドル、歌手、俳優、エンターテイナー……いろんな呼ばれ方をしてきましたが、極端に言えば何でも構わないというか、見る人が決めてくれたらいいと思っています。こう呼んでほしいとこちらから指定したことはありません。

 僕としては、66歳の今までずっと「郷ひろみ」を続けているだけ、という感覚です。

 郷ひろみを続けるとはどういうことかというと、たとえば僕にはオンとオフの区別がありません。もっと言えば、寝ている時以外はオンだと考えています。僕は人に見られている方が、気が楽なんです。人の目を意識して自分を律することができるから。逆に、たとえば自宅でパジャマのまま1日ダラダラするようなことは「表では華やかな格好をしているのに、裏ではこれか」と自分の生き様に嘘があるようで嫌ですし、しないですね。

 芸能人のなかには、プライベートな時間のときにサインを求められると断る人もいると聞きます。でも「今は郷ひろみじゃなくて、本名の原武裕美の時間だからごめんなさい」とか言っている暇があったら書けるのかな、って思うし。何より、傍から見て、今は原武裕美かどうかなんてわからないだろうな、と思ってしまいます。

 つまり僕の行動基準は、郷ひろみとしてやるべきかどうかの1点なんです。迷った時にはそうやって己に問いかければ、自ずと答えが出ます。もちろん判断を誤ることもありますが、傷つきながら経験に学べばいい。ポジティブ思考なので、反省はするけど後悔はしません。

 よく外見を「若いですね」と言っていただきますが、そうかな? 昔は自分でも見た目を意識しがちでしたが、今はそこの若さを目指しているわけではないので。それでは中身がないと気づいて、30代頃からはむしろ、自分の空洞を埋める作業を積み重ねてきました。それが結果的に、若々しさと言ってもらえるのかなという気がしています。

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