昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

サイバーエージェント社長・藤田晋氏が“管理職は実績より人格”と断言する真意

#2

 麻雀も仕事も「運が7割、実力3割」。「文藝春秋」2022年5月号より、サイバーエージェント社長の藤田晋氏による「わがギャンブル経営哲学」を全文転載します。(全2回の2回目/前編から続く)

◆ ◆ ◆

ドンキ安田さんは強かった

 歯を食いしばって我慢できたのは桜井章一さんのこんな教えが身についていたからかもしれません。

「(麻雀は、)水を張った洗面器に顔を突っ込み、最初に顔を上げたやつが負ける」

 麻雀では最初から劣勢に立たされることもある。相手にたまたまツモられまくって追い詰められ、悪い意味で開き直って暴牌を打ってしまう人や、勝負を避けて降りてしまう人がいます。ただ、どちらも我を失っており、ほんとうの勝負所を逸している。麻雀は「キレたらそこでゲームオーバー」なのです。

藤田晋氏

 経営者にもよくキレてしまう人がいます。私と最年少上場を競い合ったライバルの社長もモノ言う大株主に我慢しきれずキレてしまった。結果、株主は社長を解任しました。

 麻雀をやってよかったなと思うことは精神修養を重ね、長い目で達観する力を養えたことです。

 遊びで楽しむだけなら、感情を高めて「ここが大勝負だ!」と、ドンと張って負けを取り返そうとする手もあるかもしれません。しかし、それでは往々にしてもっと負けてしまう。顔色に出さず冷静に状況を分析して勝負する。ポーカーフェイスで、口数も少なく、何を考えているのか分からない「食えない奴」っていますよね。そういう人間ほど、きまって麻雀が強いのです。

 ただし、損か得か合理的に打っているだけでも勝てません。麻雀ってほんとうに奥が深いんです。

 麻雀の世界ではデジタル・オカルト論争というのがあって、理論にそって打つタイプ(デジタル)と情熱や気合を重視するタイプ(オカルト)に分かれると言われます。

 今まで卓を囲んだ経営者のなかで一番麻雀が強いと思ったのが、ドン・キホーテの安田隆夫さん(現・創業会長兼最高顧問)。技術面もさることながら、とにかく最後まで一生懸命に集中力を切らすことなく打ってくる。最終的には勇気や度胸、情熱がないと勝てない。私はデジタルとオカルトのバランスをうまくとるようにしています。

z