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genre : 社会

代表の逮捕後も陰謀論に囚われ続ける人々

代表のイチベイが逮捕された後、残された神真都Qの幹部は、過激な行動の禁止とデモの中止を構成員たちに通達した。神真都Qと関係が深い陰謀論ビジネスの主催者も、挑発的な態度をトーンダウンさせ、活動の一部を自粛するに至っている。

だが幹部以外の構成員たちは、いまだにイチベイが掲げた陰謀論を疑わず、陰謀論に基づいた新たなストーリーを生み出している。例えば、トランプ前大統領が開発したQフォーンと呼ばれるスマートフォンが構成員たちに無料で配られ、独自の電子マネーが全員に振り込まれるというのだ。さらに、前回の記事でも触れた「ピック(拉致して処刑すること)」などの独自の符丁を使って、物騒な願望を膨らませ続けている。

神真都Qの問題とは、神真都Qという虚構を自己肯定感が得られる居場所にしてしまい、そこから戻れなくなった人々がいるということだ。そして神真都Qが浮かび上がらせた問題とは、ある人が社会の変化のペースについていけなくなったとき、その人の居場所が社会の中になくなってしまうということだ。

Aさんのような人に神真都Q以外の居場所があるのかどうか。Bさんのような人の生きづらさを軽くできるのか。今はどうにか現代社会の求める基準についていけているあなた自身、あるいはあなたの身近な人が、病気や加齢、あるいはふとした失敗でそこから脱落するかもしれない。

神真都Qという組織が今後どのような経緯をたどろうとも、1万人以上いる神真都Q構成員の親族や友人が直面している悩みは続く。それはまた、私達の社会が日々の進化と引き換えに生み出し続ける悩みでもある。

K ヒロ(けい・ひろ)
著述家、写真家
1964年北海道北見市生まれ。大学在学中から写真家として活動。広告代理店勤務の後、コピーライティングおよび著作活動に従事。東日本大震災後10年を契機に、日本と日本人を見つめなおすプロジェクトに改めて着手。noteにてハラオカヒサ氏と共同で、コロナ禍を記録する「コロナ禍カレンダー」ほか、反ワクチンや陰謀論、さまざまな社会運動などについての論考を展開している。

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