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被害者の3人に2人はまったく気づかない…アップルの"AirTagストーカー"の対策が困難であるワケ

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genre : ライフ, ライフスタイル, テクノロジー

GPSの位置情報を不正に利用したストーカーの摘発が相次いでいる。成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは「新たに問題となっているのが、アップルの『AirTag(エアタグ)』を悪用したストーカーや盗難被害だ。犯人の特定が難しいうえにアップルの防止策は不十分な点が多く、対策強化が急務となっている」という――。

写真=iStock.com/Tonktiti ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tonktiti

GPS端末で600回居場所を確認しても「無罪」

スマホの位置情報を知ることができるGPS機能は、地図やゲームなどさまざまなアプリで活用されている。ある女性はこんなふうに使っているそうだ。

「夫が嫉妬深くて、いつも『どこに行ってたの』『誰といたの』って質問攻めにされるので気が重くて。それくらいならと思って、Zenlyで居場所を共有するようにしたら、質問が減って気が楽になった。いつもいるところをチェックされていると思うと微妙だけれど、質問攻めよりはまし」

「Zenly(ゼンリー)」は利用者同士でGPSの位置情報を共有できるアプリだが、当然ながら相手との信頼関係や同意が不可欠だ。家族や恋人同士などは利用できても、一方的に思いを寄せている場合は利用できない。勝手に相手の位置情報を確認する行為は、ストーカー規制法違反に問われる可能性があるからだ。

しかし、ほんの数年前まではSNSでしつこくメッセージを送ったり、GPS発信機等で無許可に居場所を確認する行為が同法の規制対象ではなかったことをご存じだろうか。

実際、長崎県の男(53)が2016〜17年に元交際相手の車にGPS発信機を取り付け、約600回にわたって位置情報を取得した行為は、最高裁でストーカー規制法違反に当たらないと判決が出されている。同法が禁じる「見張り」は相手が普段いる場所の近くで動静を観察する行為であり、車の位置を知ることは該当しないと判断したためで、この最高裁判決が出たのは2020年7月のことだ。