位置情報の無断取得が規制対象となり、摘発が相次ぐ
法律がストーカー被害の実態に追いついていないことが問題となり、ストーカー規制法は時代に合わせて改正された。
2017年にはSNSでのつきまといが新たに規制対象に追加。2021年8月には、さらに「GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等」が規制された。これによりようやく、ひそかに他人の持ち物にGPS機器を取り付けたり、位置情報を取得する行為が規制されたのだ。
2022年4月には、会社員の男(52)が20代のタレント女性の乗用車にGPS装置を取り付けたとして、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕されている。男は女性のファンであり、活動場所に姿を現したり、SNSでやり取りしていた。男はそれまでに30回にわたり、無断で位置情報を取得していた。
2021年9月には、元交際相手の40代女性の車にGPS発信機をつけて位置情報を把握したとして48歳男が書類送検された。男は約90回位置情報を確認し、女性に対して「行動を把握している」とメッセージを送りつけていた。女性が車を調べると、車の下に発信機が仕掛けられているのを発見、通報に至ったのだ。
男は動機について「女性の行動を知りたかった」と語っているが、自らメッセージを送っていなければ位置情報を把握していることはわからないままだったかもしれない。
女性のバッグにいつの間にか入っていたAirTag
GPSを悪用したストーカーが摘発される中、新たに問題となっているのが、AppleのAirTagだ。米国在住の20代女性は不可解な出来事があったと話す。
「自宅に帰る途中、iPhoneに『AirTagが見つかりました』と表示が出てパニックになった。慌ててあちこち探したら、バッグの中に知らないAirTagが入っていた。レストランで椅子にかけていたときか、通勤電車で入れられたのかもしれない。覚えがなくて怖い」
無断で入れられていた意図は明らかではないが、おそらくAirTagを悪用したストーカー被害と考えられるだろう。