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女性は警察に届けたが、iPhoneの通知のみでは十分に証拠にならず、誰かが自宅に訪れないとストーカーとは証明できないのではないかと言われてしまったという。警察に届けても、このように満足な対応をしてもらえない例は少なくないそうだ。

500円玉サイズのタグで現在位置が特定できる

AirTagとは、紛失・盗難防止のために鍵や財布、自転車などにつける紛失防止タグのことだ。500円玉より一回り大きいサイズ(直径約3センチ、厚さ8ミリ)で、Appleが2021年4月に発売した。

AirTag自体にはGPSは搭載されておらず、Bluetooth通信でiPhoneと通信し、「探す」アプリで位置情報がわかる仕組みだ。自分のiPhoneだけでなく、周囲にある他人のiPhoneを介して情報が渡される。

位置情報については、「あのビルにいる」程度までわかるくらいの精度。多少ズレはあり、更新頻度はリアルタイムではなく数分間のラグはあるものの、自宅などその場にとどまる時間が長くなれば特定は容易だろう。

悪用した犯人を特定しにくく、検挙には高いハードル

本来は紛失防止タグだが、以前から子どもの見守りなどにも使われている。居場所が正確にわかる専用の見守り端末は多数あるものの、たとえば「みてねみまもりGPS」や「GPS BoT」などはそれぞれ端末代5280円の他に月額料金528円がかかる。それ故、何かと物入りの子育て世代の中には、3800円の端末代だけで済むAirTagを利用する家庭があるのだ。

見守り端末は充電の必要があるが、AirTagなら電池が約1年持続するため鞄に入れっぱなしでもいいという楽さもあるようだ。

この便利な機能を、他人の持ち物や乗り物に仕込んでストーカーや盗難に悪用するケースも出てきている。対象者の自宅や居場所を確認したり、目をつけた高級車のナンバープレートやバンパーの裏などにつけてひと目のない時に盗んだりという被害が続いている。たとえば、カナダの地方警察は2021年9月以降、AirTagが使われたとみられる高級車の盗難事件が相次いでいると注意を呼び掛けている。

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