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集中力を「貴重品」にしたスマートフォン

『スマホ脳』で興味深い実験が紹介されている。大学生500人を対象に、記憶力と集中力の調査をした。500人のうち一定の学生はスマートフォンを教室の外に置き、他の学生はサイレントモードにしてポケットにしまわせた。すると、スマートフォンを教室の外に置いた学生の方が、よりよい成績を残したという。

恐ろしいことに、スマートフォンの画面を見ていようがいまいが、そこにあるというだけで集中力が阻害されるということだ。今の時代、集中力はもはや「貴重品」なのだ。

インターネットに誘引される感情によって、誤った判断をしたり、自分の本質を見失うリスクもある。SNSやネットニュースで流れる情報のほとんどが些末で自分の人生とは関係のないことなのに、それによって精神状態を乱された経験は、誰にでも少なからずあるだろう。

本来、インターネットは広い領域のツールであるはずなのに、SNSのタイムラインやアルゴリズムに沿った「おすすめ」ばかり見ているせいで、思考や価値観が逆に狭まるケースもある。

スマートフォンに触れない時間は「極上の贅沢」

そういうわけで、デジタルデトックスは、定期的に必ず実践した方がよい。

なにも突然、「今日1日はインターネット禁止!」などとハードルを設ける必要はない。1日30分でもいい。あるいは先に紹介したマインドフルネス瞑想をする時間だけでもいいし、電車の中でスマートフォンをチェックする習慣がある人は、それをやめるだけでも何か変化があるはずだ。

僕の場合は、毎日1時間のランニングがデジタルデトックスになっている。「そのくらいでいいのか」と思うかもしれないが、今の時代に、パソコンにもスマートフォンにも手をつけずに1時間過ごすのは、なかなか贅沢な時間であるような気がする。

茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者
1962年生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学院理学系研究科修了。クオリア(感覚の持つ質感)を研究テーマとする。『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞を受賞。近著に『脳のコンディションの整え方』(ぱる出版)など。

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