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同居したら、借金の肩代わりをさせられる

実は、それ以降Y乃さんは10年以上も義両親と会っていないとのこと。夫もそれを不審に思わないのか、「オヤジたちもようやく子離れできた、ってことだろう」と関心を示そうとしない。Y乃さんいわく、「お金を返すあてがないのか、借金そのものをなかったことにしたいのかはわからない。もちろん貸したお金は返してほしいが、それが不可能ならこのまま義両親との縁を切っても構わない」。

ところが最近になって事態が動き出したとのこと。「自分たちだけでは生活が不安な年齢になったので介護をしてほしい」と義両親がY乃さん夫婦と同居をしたいと言ってきたのだった。しかも、話をよく聞くと、義両親はY乃さんのほかにも数件分の借金がある様子だった。「義両親と同居することで、なし崩し的に私たちが借金の返済をしなければならない状況になるのではないか。それなら、離婚してひとりで暮らしていくという選択肢もあるのかもしれない」とY乃さんは迷っている。

「義両親が原因の離婚」は避けられるもの

「義両親が原因の離婚」と聞くと、ひと昔前なら「義母のイジメに耐えかねた妻が家を出ていった」という関係に代表されるような、いわゆる「嫁姑問題」が大半だった。ところが10年以上前からその図式に変化が見られるようになった。

理由は「嫁世代」の女性の多くが社会に出て働き、自分に自信を持つようになり、美しくなれることを知ったからだ。仮に、義両親からイジメられるようなことがあっても、「じゃあ、別れます」と子供をつれてアッサリ離婚を決断するケースも増えた。

だからこそ、「義両親が原因の離婚」は避けられる時代になったともいえるだろう。別れたくないのであれば、「自分の親とは適度な距離を保って生活する」「配偶者と自分の親の利害関係は一致しないもの、と心得る」「場合によっては『卒婚』という形で義両親や夫と別居生活をするのもアリ」といった選択肢のなかから、離婚以外で自分らしく生きていかれるアンサーを見つけることもできるからだ。

岡野 あつこ(おかの・あつこ)
夫婦問題研究家
NPO日本家族問題相談連盟理事長。株式会社カラットクラブ代表取締役立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに25年間、3万件以上の相談を受ける。『最新 離婚の準備・手続きと進め方のすべて』(日本文芸社)『再婚で幸せになった人たちから学ぶ37のこと』(ごきげんビジネス出版)『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)など著書多数。

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