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30代女性はなぜ“不妊治療”を諦めたのか? 「卵管造影はお腹が裂けるぐらいの激痛」「体外受精は『100万円かかる』と言われ……」《4月から保険適用範囲が拡大》

「不妊治療」は変わるのか #1

2022/05/20

 昔から子供は好きではなかった。

 小さい頃から「お母さんになりたい」と思ったことは一度もない。「子供が欲しいから結婚したい」と話す友達のことも、「そうなんだ」と相槌は打つが、理解できなかった。

 ただ、「結婚したら子供を産んで、家族を作っていくのだろうな」とはなんとなく思っていた。自分自身がとても仲のいい家族に育ってきて、まあ家族というものも悪くないものだなというのはわかっていたので。

治療用ピルをやめたら妊娠すると思っていた

 30歳の時に今の夫に出会い、1年間交際、2年間同棲をしたのちに33歳で結婚。24歳の時に子宮内膜症と診断された私は、治療のために低用量ピルを飲み続けていた。ピルを飲むことで生理の量が減り、時期もコントロールでき、しかも避妊の効果もあるので、ピルは自分にとっては非常に都合のいい薬だった。

©iStock.com

 産婦人科の先生には「ピルを飲んでいる間は排卵が起こらないので、卵巣年齢が老化しにくい」とか、「妊娠を希望するタイミングでやめれば、比較的妊娠しやすい」といったことも言われていた。

 前述の通り「子供が欲しい」という気持ちはなかった私だが、ずっと一緒にいたいと思える夫に出会い、「この人とだったら家族を作りたいな」という気持ちになった。

 もっと言うとそんなフワッとしたロマンチックな感情ではなく、「この人と私の遺伝子が混ざったらどのような子供が生まれてくるのだろうか?」という生物学的興味というべきものの方が大きかった。無事に結婚式を終えて、ピルを飲むのをやめたので、まあこれでしばらくすれば妊娠するだろうなと勝手に思っていた。

半年経っても妊娠せず、不妊治療外来の門を叩くことに

 しかし、半年経ってもなんの気配もない。

 当時勤めていた会社で、数少なかった子持ちの同僚と飲んだ時に「排卵のタイミングでする……みたいな作業になってくる」という話を聞いて、やっぱりそうするしかないか、と基礎体温を測り、排卵検査薬も買ってみて、そのタイミングを狙ってするということもしてみた。

 しかしやはり、うんともすんとも言わない。

「これはもしかして私か夫に問題があるのではないか?」と思い始め、不妊治療外来の門を叩くことにした。

 34歳、当時ランニングにハマっていた私はかなり痩せていた。最初の検査で体重を測るなり、「あと2kg以上は太ったほうがいい」と看護師さんに言われて、「いやいや、これが自分のベスト体重だし……」などと反発する気持ちもあった。卵巣年齢は31歳と、実年齢より若いという結果を告げられた。卵巣と子宮をつなぐ卵管の通りを調べる検査をした。これは排卵がスムーズに行われているかを調べるものだが、卵管に造影剤を流して検査をする。

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