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genre : 教育

図形が得意な子は、手先が器用な子が多い。小さいときから手を動かす訓練をしてきたからだ。自分の手を動かしたからこそ、その感覚が体に染みつく。思考力を重視する中学受験の算数は、この身体感覚がとても大事だ。親が理数に強いかどうかではなく、親がそういう環境をつくってきたかが大切になる。

小学生には「身体を使って解く習慣」をつけてほしい

ならば、幼少期にそういった遊びをしてこなかった子は救いがないのか。

正直なところ、幼少期の経験は非常に大きく、差を埋めるのは大変だ。志望校に合格するという目的を叶えるためであれば、ある程度のパターン学習でカバーできる。しかし、今更と思っても、身体感覚を鍛えることもやってほしい。よく、文章題を解くときには「式だけではなく図を書け!」と言われる。それは、単に塾で習ったやり方を使って解けという意味ではなく、手を動かす、すなわち身体の感覚を使わなければ、応用問題は解けないからだ。

幼少期に手を動かす遊びをしてきた子は、設問を自然にイメージすることができるが、してこなかった子はせめて身体を使って解く習慣をつけてほしい。それを面倒くさがってしまうと、算数を得意にすることはできない。

子供が理解できているかを確かめる「親の問いかけ」

授業の受け方にも注意が必要だ。中学受験の算数は、実にたくさんの単元があり、覚えなければいけない公式がある。毎回の授業で新しいことを学んでいくので、子供たちはついていくだけでひと苦労。すると、「この問題が出たときはこの公式で解く」といったようにパターンで丸暗記しようとする。しかし、近年の中学受験は、塾のテキストにあるような問題がそのまま出されることはまずない。必ず応用問題が出題される。うわべだけの勉強では太刀打ちできない。

どんな複雑な問題でも解けるようになるには、概念理解が不可欠だ。塾の授業では必ず「なぜそうなるのか」「なぜこの式を使うのか」といった説明がある。それをしっかり覚え、納得し、自分の言葉で伝えられるようにする。いくら身体感覚でイメージができても、概念理解ができていなければ、答えを導くことはできない。子供が理解できているかを確かめるには、親の問いかけも大切だ。「この問題はなぜこの式(図)で解けるの? お母さん、よく分からないから教えてくれる?」、この問いかけを習慣化させると、授業の受け方が変わってくる。

算数が得意な子に育てるには、幼少期からの生活に数字を入れ、手を動かす遊びをさせること。「なぜそうなるのか」の概念理解をおろそかにしないこと。算数が得意な子というと、何か特別な才能を持っているように見えるが、どんな子でも親の関わり方次第で得意になりうることを知っておいてほしい。今からできることをやってみよう。

西村 則康(にしむら・のりやす)
プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
日本初の「塾ソムリエ」として、活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導に定評がある。

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