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出口容疑者は自宅の裏の空き家に坂本さんを“住まわせた”

「元々坂本さんは光市内にある両親から受け継いだ一軒家に住んでいました。ただ、出口容疑者は運転免許を取り消され、しかも酒好き。自分が飲み屋に行く時の送り迎えをする運転手が欲しかったのです。それで自宅の裏の空き家に、わざわざ坂本さんを住ませました。そうすれば運転手もできるし、家賃ももらえるので一石二鳥だと……。実際、私と話している最中でも、坂本さんが『迎えに行かなきゃ』と慌てた様子で出ていくことがありました」

被害者の坂本さんが住んでいた家 ©文藝春秋

 取材班は、坂本さんが元々住んでいた光市山間部にある自宅を訪れた。屋根や壁にはツタが茂り、庭には古い冊子やゴミが散乱。インターホンは壁からはがれ落ち、カーテンも閉め切ったままで、最近まで人が住んでいた様子は見受けられなかった。

給料ももらえず、足に使われる日々

 2021年3月に坂本さんは車を運転中に事故を起こし、親戚男性の会社で修理することになったが、その修理代の支払いも滞るほど生活に窮していたようだ。

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「毎月給料が入ったら分割で修理代を払ってもらう約束でしたが、すぐに支払いは滞りました。だから坂本さんに『なんでそんなに金がないんや』と聞いたんです。すると『ギャンブルも風俗もやらないし趣味もない。ただ、給料が支払われない』と言いました。坂本さんに聞いてみると、出口容疑者が坂本さんに払うと約束した給料は月10万円に満たない額で、そこから食費と家賃を引かれ、手元に残る金はほとんどないようでした。しかもその残りの給料ですら、未払いか、支払われるとしても数か月遅れ。足りない生活費は、毎月姉から借りていました。私は毎月坂本さんと会っていましたが、着ている服もいつも同じでした」(同前)

 出口容疑者と一緒に仕事に入るのは月に2週間だけで、残りは坂本さんが“足”となり、出口容疑者に昼から連れまわされる生活を送っていたという。