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穴に塩を入れると奇妙な貝が…東京湾の干潟に生息する「マテガイ」を採って食べてみた

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 マテガイという長細い形をした二枚貝をご存じだろうか。

 潮干狩りと言えばアサリを採取するイメージが強いが、マテガイも同じく干潟に生息する人気のターゲットである。

こちらがマテガイ。二枚貝だが、アサリやハマグリとは形状がまったく異なる

 アサリやハマグリ、シジミなどの一般的な三角形に近い形ではなく、まるで朽ち果てた一節の竹のような見た目をしている。一見変わった貝だが実は採取方法に趣があり、さらにはアツい駆け引きが楽しめるのだ。

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 ここ数年マテガイ採りにハマってしまった私は、干潟にアサリを採るための熊手すら持って行かない生粋の「マテラー」と化している。今回は採って楽しい、食べて美味しいマテガイ採りを紹介する。

マテガイ(馬刀貝)とは

 生息域は干潟や河口など砂泥底を好む。名前の由来は諸説あるが、馬手差(メテザシ)という腰刀が鞘に収められた様に似ていることから付けられたそうだ。

 また馬刀(マータイ)に似ているという記事もあったが、写真が発見できずイメージできなかったので、「るろうに剣心」のキャラクターである相楽左之助の武器、斬馬刀に似ているという解釈で勝手に納得した。

マテガイ採りに必要なアイテム

 ・平たいスコップ

 ・ドレッシング容器に入れたサラサラの塩(1kg)

 ・水汲みバケツ(活かしバケツ)

マテガイを採るための装備品

 すべてダイソーで購入すれば800円で揃う。マテガイ採りはアサリのように掘れさえすれば何とかなるわけではない。特に塩を忘れた場合、現地の海水で塩を精製しなければ採る術はないと思った方がよい。

実際にマテガイを採りに行ってみた!

 今回は神奈川県の潮干狩りのメッカ「海の公園」に向かった。横浜・八景島シーパラダイスにほど近い砂浜だ。こちらは無料で潮干狩りが楽しめるポイントで、平日でも多くのお客さんで賑わう激戦区でもある。

干潮になると干潟が広がる「海の公園」

 この日は干潮時刻11時30分に対して9時に海岸へエントリーした。周りはアサリ採りの方が多かったが、マテラーも散見され俄然やる気が出た。まずは波打ち際から少し離れた場所で干潟に空いた小さな穴を見つける。穴の主はアサリやアナジャコ、マテガイと様々だ。

干潟に空いた小さな穴