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「動けない」のに「見た目は…」〈10人に1人が発症〉10代に降りかかる病の“わかられない辛さ”

2022/06/12
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 10代の10人に1人が発症する「起立性調節障害」。記憶喪失や失神、朝のだるさや倦怠感、動悸、頭痛などの症状が見られる病気だが、「夜ふかししてしまうから朝が起きられない」「サボり」といった誤ったレッテルが貼られてしまうこともある。

学校に行けなかった中学生が漫画家になるまで』で、思春期に起立性調節障害に襲われた体験を綴った漫画家・月本千景さんに話を聞いた。

©月本千景/中央公論新社

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「起立性調節障害」。10代の10人に1人が発症する自立神経系の病気だが、はじめて耳にする人も多いかもしれない。

 漫画家の月本千景さんは、小学校6年生頃に起立性調節障害を発症。症状が重く、中学時代はほとんど学校生活を送ることができなかった。

「中学2年頃から卒業まで、ほとんど記憶がありません。それまでは勉強もスポーツもそこそこできる器用貧乏で、向かうところ敵なしといった感じでした(笑)。

 それがある日突然、記憶が飛んだり言葉が出なくなったりして……。小6のときに左目が一瞬見えなくなったときはわけが分からなくて、本当に怖くなりました」(月本さん、以下同)

©月本千景/中央公論新社
©月本千景/中央公論新社

 朝起きようとすると激しい動悸に見舞われ、動けない。学校でも吐き気が止まらず、保健室やトイレに閉じこもった。頻発する立ちくらみや気持ち悪さで遅刻・早退を余儀なくされる中、周囲からは「怠けている」「サボっているだけ」といった心無い声が浴びせられるようになっていく。