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親が離婚、父親は人身事故を起こし大けが

 青葉が、さいたま市緑区内の2軒目のアパートで暮らしていたとき、両親は離婚。実母と長男、青葉と父親と妹に分かれ、それぞれ別々で暮らしはじめる。やがて青葉は、さいたま市内の中学に入学。当時まだ天真爛漫だった彼に変化が起きたのは1991年のことだ。

「親父さんが事故やっちゃってから、収入がなくなったんだよね」

 近所で暮らす初老の男性が言うには、タクシーの運転手をしていた父親が勤務中に人身事故を起こし大けがを負ったそうだ。

「事故が原因で会社をクビになって、一時フラフラしていたみたいね。私が印象に残っているのは、よく親子喧嘩をしてましたよ。うちのほうまで聞こえる大声で怒鳴り合うような」

 収入が途絶え、生活は荒れた。親子間での衝突も絶えない。こうした家庭環境は青葉の学校生活にも影響を及ぼす。

両親離婚後に父、妹と転居したさいたま市緑区のアパート

中学では孤立、しかし定時制高校で平穏な日々を取り戻し…

「別に挨拶をするわけでもないし、ただ黙って暗かったよ。暗かった」

「明るいことはないね。いつも下向いてね。そうかといって遊びに出るわけじゃないし、友達だっていなかったんじゃないかな」

 中学の同級生たちから語られたのは、学校での孤立である。青葉の心はこの頃から殺伐としていく。ところが、中学を卒業して埼玉県内の定時制高校に通いはじめると、埼玉県庁での文書集配アルバイト仲間の、同じ高校の同級生2人と仲良くするなど、一見、平穏な日々を取り戻す。

中学3年(左)と高校3年時(右)の青葉(卒業アルバムより)

 職場の上司は語る。

「とても真面目な好青年で、トラブルは全然なかったですし、職場でも仲良く働いていました。その仕事ぶりとかを見ている限りでは、素直ないい大人になっていくのではないかなと」

 “真面目な好青年”になった青葉が、上司の見立てどおりの人生を歩んでいれば問題はなかったのかもしれないが……。(#2へ続く)

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