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〈本人解説〉「あとで後悔してしまうような一打はしたくない…」実戦譜で振り返る“勝負師” 黒沢咲の“リーチについての思考”とは

『黒沢咲の 鳴かずに勝つ! セレブ麻雀』より #2

2022/06/20

 プロ雀士の中でも、ほんの一握りのトッププロだけが出場できるプロ麻雀リーグ「Mリーグ」。そんな強豪ひしめく環境において3年連続3桁プラスの好成績を残し続けているのが黒沢咲氏だ。強気な麻雀で役満との縁も多い彼女は、いったいどのようにリーチ・手組みを思考しているのだろうか。

 ここでは、同氏が麻雀の魅力をたっぷり語った著書『黒沢咲の 鳴かずに勝つ! セレブ麻雀』(KADOKAWA)の一部を抜粋。実戦譜とともに、彼女がどのような考えで牌に向き合っていたのかを紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)

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自分の手と信念に基づいて麻雀を打つ

 私はいつも、まっすぐな気持ちで麻雀を打つことを心がけています。有効だとしても、対戦相手を撹乱させるような小細工は考えずに、素直な気持ちで牌に向き合いたいんです。

 なぜそう思うようになったかというと、不思議なことに、私がそういう「よこしまな考え」を持って麻雀を打つと、そのあと必ずバチが当たるんです。自分の打牌で相手を操縦しようと考えると、痛い目に遭う。

 あの人がやるとうまくいくのに、なんで私だけ……と思ったこともありましたが、今は毎回、罰を与えて教えてくれた麻雀の神様に感謝しています。ごちゃごちゃ考えていた頃より、ずっと力強い麻雀が打てるようになりましたから。

©iStock.com

 私のリーチは打点が高いことが多いので、「黒沢のリーチは怖い」とよく言われます。それはうれしいことですが、だからといってその印象を利用して足止めリーチを打つようなこともしません。

 押し返されたときに、後悔したり、なんとなく恥ずかしい気持ちになるんです。「なんでこんな手でリーチしたんだろう?」って。

 私がリーチの際に心がけているのは、とにかく後悔しないと覚悟を決めること。結果によって、あとで後悔してしまうような一打はしたくないと思っています。自分が納得してリーチを打ったなら、その局はうまくいかなくても、切り替えてまた一から手を作ればいいと思えるので。

 次のページからは、私のリーチについての思考や、手組みをしていく上で意識していることをお伝えしていきます。