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 ニワカですが哲学者のニーチェは、「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである」と言っていますが、誰もが自分なりのとらえ方で物事を見つめています。人は主観でしかものを見られない。神のような第三者がいないと真実はわからない。肝に銘じようと思ってます。

 わたしの作品に対しても、感想は読んでくださった方の数だけあります。それは普段何を見て、何を意識しておられるかによって変わるんだと思います。マンガは、描くときには色々思惑を込めるものですが、一旦出てしまえばどう読まれても構わないと思ってますので、読む方それぞれの楽しみ方で開いていただければ嬉しいです。

カフカ『審判』をマンガに

 また、『自省録』のように、わたしが好きなものもたくさん入れ込んでいます。ナポレオンの言葉、谷川俊太郎先生の詩、「山賊の歌」なんかも……。文学が好きというより、わたしは言葉そのものに強い興味があるみたいです。

 懐かしい話ですが、高校生のときにカフカの『審判』を読んで16ページほどの短編マンガを描いたことがあります。コロナ禍でブームになったカミュの『ペスト』も島崎藤村の『破戒』も当時マンガにできないか考えたりしました。山岡荘八の歴史小説『織田信長』『徳川家康』を読んでは信長を描きたいと思い……これは後に少し描いてみたりしました。自分はこう言う目線で本を読んでしまうようです。

「雨は蕭々と降っている」(三好達治『大阿蘇』 4巻で引用)

 これは昔、国語の教科書で読んで以来、ずっと心に残っていた詩です。作者が誰かも忘れていたんですが、最近調べてみたら、『乳母車』や『測量船』など、好きな詩はことごとく三好達治作のものだと気がついて衝撃を受けました。

 そういえば詩には全く疎いんですが、漢詩がちょっと好きなんです。とりわけ杜甫の詩と人柄に惹かれます。高校の漢文古典の授業で学んだ、「江碧鳥逾白 山青花欲然」(江碧みどりにして 鳥逾(いよいよ)白く 山青くして 花然えんと欲す)ではじまる杜甫の五言絶句に、たったこれだけの文字で一瞬にして色鮮やかな情景が浮かんできて、授業中、ひとりで感動してました。天才とされる李白に対して杜甫は繊細で傷つきやすく色々とぐるぐる悩んでる。でもだからこその視点があって、見える地平がある。人として大事なことを知っている……なんだかそんなふうに思えて好きなんです。漢詩は『7SEEDS』に結構出しました。