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「教祖のように見えてしまうのはダメ」ドラマ『ミステリと言う勿れ』撮影中に菅田将暉が田村由美へ語ったこと

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「文藝春秋」2022年7月号より、『ミステリと言う勿れ』(小学館)の作者であるマンガ家の田村由美さんのインタビューを全文公開します。(全2回の2回目、前編から続く)

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菅田は整をどう演じたのか

 ドラマでは、毎回、菅田さんと豪華なゲストとの丁々発止のやり取りがとても面白かったです。

 クランクイン前、菅田さんが、整のことを理解するために作者であるわたしに会いたいとおっしゃられて、お目にかかりました。あの菅田将暉さんに会うわたしの人生ってなんだろう? って焦ったり緊張したりしつつも感激しました。まずわたしを理解しようとしてくださったんです。

 菅田さんは整をどう演じるか、ずっと深く考えてくださってました。整もまだ未熟な学生ですし、教祖のように見えてしまうのはダメだと。さらに原作に忠実にただ台詞を言うだけでは内包する意味が視聴者に伝わらないかもしれない、それではダメだと。どうしたらこの話のテーマを伝えられるか苦心されたことを後で伺いました。時には感情を少し盛って話すなど、非常に繊細な演技を心がけられたそうです。ほんとうに才能と誠意の塊のような方です。整の台詞ひとつひとつを大切にしてくださいました。

 菅田将暉さんは今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で源義経を演じておられ、大絶賛されています。鮮やかで眩しく、惚れ惚れするような見事な義経でした。そこで生きていると思わせてくれるんです。そんな方に演じていただけたことは、うちの作品にとって、整にとって、心底幸運なことだったと、ただただ感謝しています。

菅田将暉(第42回日本アカデミー賞授賞式) ©文藝春秋

「僕は常々思ってるんですが…どうして、いじめられてる方が逃げなきゃならないんでしょう」
 

 2巻ではバスジャックに巻き込まれた整はそう切り出し、いじめについての疑問を投げかける。
 

「欧米の一部では、いじめてる方を病んでると判断するそうです。いじめなきゃいられないほど病んでる。だから隔離して、カウンセリングを受けさせて、癒すべきと考える。日本は逆です。いじめられてる子をなんとかケアしよう、カウンセリングを受けさせよう、逃げる場を与えよう。でも逃げるのってリスクが大きい。学校にも行けなくなって、損ばかりする。DVもそうだけど、どうしてなんだろう。どうして被害者側に逃げさせるんだろう。病んでたり、迷惑だったり、恥ずかしくて問題があるのは、いじめてる方なのに」