文春オンライン

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genre : ビジネス, 企業, 働き方

この女性は「もっと仕事の幅を広げたい」と、このベンチャーに応募しました。求められる経験などの条件には合っていたように見えたのですが、面接を何回か経て、結局「残念ながら採用を見送らせていただきます」と、不採用になってしまったのです。

届いた「お見送り」メールには、不採用の理由はまったく書かれていません。この方は「ベンチャー企業でファイナンスにかかわる幅広い仕事をするには、スキルや経験が足りなかったのではないか」と、スクールに通って資格を取得しようと考えました。

「スキルや経験不足」ではなく「カルチャーが合わない」

このように、面接で落とされるとすぐに「スキルが不足しているせいだ」「経験がないせいだ」と考える方はたくさんいらっしゃいます。しかし、実は意外に多い理由が「カルチャーアンマッチ」、つまり「社風や仕事の仕方が合わない」というものです。

特に公務員や金融、メーカー等の日系老舗大手と言われる企業出身の人が、Web系スタートアップやベンチャーのように、若手がスピード感を持って仕事をしている企業に転職をしようとすると、こうした判断をされることがあります。

例えばさきほどの女性のケースで言うと、金融業界の人にとって「ミスをしないこと」は最重要。「たとえ時間がかかっても、丁寧に確認作業をしながら仕事をすることが正義」という考え方です。何か行動を起こすときは、必ず上長の許可をもらうことが重要で、社内派閥を含めた立ち回りや根回しを大切にしてきた人もいるでしょう。

しかし、スタートアップやベンチャーのように、新しい概念やサービスを提供している会社では、仕組みや前例のない業務ばかり。スピードを重視し、常に「トライアル・アンド・エラー」の精神で失敗を恐れず、「まずはやってみる」という姿勢が大切です。

180度違う社風に適応できるか

失敗を恐れて確認作業に時間をとられ過ぎたり、上長や周囲にお伺いを立てながら仕事をしてきた人は、スピードや柔軟性を重視する社風に合わないとジャッジされることになります。仮に入社できたとしても、日々のルーティンや役割、体制がしっかり決まっていないことにストレスを感じてしまい、早期の退職に至るケースが後を絶ちません。