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「市販薬を使うか」医師38人にアンケート “なんでも正露丸”は止めよう

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2022/06/25

 手軽さのウラに潜む意外なリスクを知っておこう。「文藝春秋」2022年7月号より、医療ジャーナリストの長田昭二氏による「名医が飲んでる市販薬」を全文公開します。(全2回の2回目、前編から続く)

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【胃腸薬】「なんでも正露丸」は止めよう

 食べすぎや胃のもたれ、下痢や便秘など「医療機関に行くほどではないが症状を改善したい」という時に便利な市販の胃薬や整腸剤。しかしこれも、使い方を誤ると大きな被害を引き起こすことがある。山王病院副院長で消化器内科部長の大久保政雄医師に聞いた。

「胃の炎症などの症状があって医療機関でネキシウム(プロトンポンプ阻害薬)を処方されている人が、ドラッグストアで買ったガスター10(H2ブロッカー)を同時に飲んでいたことがありました。幸いにもその患者さんには大きな副作用は出なかったものの、場合によっては肝機能障害を引き起こす可能性があった。どちらも安全な制酸薬ではありますが、医師の判断無しで複数の薬品を併用するのは、たとえ市販薬でも非常に危険です」

写真はイメージ ©iStock.com

 この患者は、処方薬だけでは痛みが治まらないので、自己判断でガスター10を加えたという。だが、処方薬で期待する効果が得られないなら、まずは処方した医師に相談すべきだ。

 では、食べ過ぎや飲み過ぎで苦しい時は、どのように対処すればいいのか。

「食べ過ぎなら胃酸が多く出ているので、それを中和するサクロンやパンシロン、太田胃散などは有効です。飲み過ぎの場合は胃だけでなく膵臓にも負担がかかるため、市販薬ではガスター10で胃酸や膵液の分泌を抑えるのがいいでしょう。ただ、そこまでひどくないのであれば、薬よりもオーエスワンなどの経口補水液を飲んで脱水を改善する方が効果を発揮することが多いです」

センナは慎重に

 次にストレス性の胃炎。効果のある市販薬として、大久保医師は漢方薬の安中散を推奨する。

「安中散に含まれている牡蠣(ぼれい)由来のカルシウムが有効なのです。漢方薬系の商品を選ぶ際には、成分に“安中散”もしくは“牡蠣”が入っているかどうか見てみると参考になります。例えば、太田漢方胃腸薬には安中散が入っています」

 胃よりも下の消化管、腸に異変が起きた場合はどうか。下痢になっても、安易に下痢止めを飲むのは考えものだ。ウイルス性の腸炎の場合、原因菌を排出するために下痢の症状が起きるので、それを止めるのはあまり好ましいことではないのだ。かといって、あまりにも頻回にトイレに行って脱水になっても困る。

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