文春オンライン

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genre : ビジネス, 商品

伸び悩む時こそ、座標軸で目指す方向性の見直しをする

アメリカのセブン‐イレブンの経営が1980年代に悪化したのも不毛地帯に陥ったからです。スーパーマーケットが24時間営業を始め、ディスカウント戦略を強化したのに追随し、同じ戦略に走ったことが原因でした。

商品アイテム数に勝るスーパーと価格で競争して成り立つはずがありません。「上質さ」もなければ、「手軽さ」が中途半端になり、セブン‐イレブンで買い物をするコトの価値がなくなり、経営は破綻。われわれに支援を求めてきました。

そこで、セブン‐イレブン・ジャパンの経営のやり方を導入。ファストフード類の品質や鮮度を高めるなど、「手軽さ」と同時に「上質さ」をちりばめる戦略を徹底し、再生を実現したのです。

もし、業績が伸びなければ、「上質さ」と「手軽さ」の二つの座標軸でどの方向性を目指すかというトレードオフの戦略が中途半端になっていないか、確認すべきでしょう。

過去の延長線上にとどまれば、必ず「不毛地帯」に陥る

「上質さ」と「手軽さ」のトレードオフを考えるとき、もっとも注意すべきなのは、お客様が求める「上質さ」も、「手軽さ」も、どちらも価値軸が常に変化するため、それに対応して売り手も変化していかないと、いつのまにか気づかないうちに取り残され、不毛地帯に入ってしまうことです。

セブン‐イレブンも、創業当初から、おにぎりや弁当の販売など、「手軽さ」の中にも「上質さ」をちりばめて、「手軽さ」と「上質さ」を両立させました。

その後も、セブンプレミアムやセブンプレミアムゴールドの開発に示されるように、「上質さ」を追求し続けました。「手軽さ」も、創業当初の近くにあっていつでも開いている「手軽さ」から、公共料金などの払い込み、ATM(現金自動預払機)設置、マルチコピー機を使って住民票の写しや印鑑登録証明書が取得できる行政サービスなど、利便性をプラスオン(付加)し続けました。これからも、「手軽さ」「上質さ」の両面でプラスオンは欠かせません。