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「年金分割」をすると給与の高い方が減額になる?

D子さんの場合を見てみましょう。

D子さんの平均月収50万円(年収600万円)、夫の平均月収35万円(年収420万円)という夫婦です。婚姻期間は12年で按分割合を50%だとすると、次の結果になります。

D子さんの婚姻期間中の厚生年金(比例報酬部分)は、年間約40万円。
夫の婚姻期間中の厚生年金(比例報酬部分)は、年間約28万円。

これを足して2で割るので、D子さんの厚生年金のうち、年間約6万円が夫の方に行くということになります(年金分割の結果は、D子さんの厚生年金34万円、夫の厚生年金34万円となります)。

夫に「ギャフン」と言わせるつもりが、これでは逆に自分が「ギャフン」ということになってしまいます。これは、夫には知られたくないことになってしまいました。

D子さんの場合には、妻の給与が高いからですが、逆に妻の給与が月額35万円、夫が月額50万円という場合には、夫の厚生年金の約6万円が妻の厚生年金に移行するということになります。夫がフリーランスで妻が会社員だった場合は、婚姻期間中の妻の厚生年金(比例報酬部分)の半分が夫の厚生年金に行くということになります(按分割合が50%のとき)。

「年金分割」での金額はどのくらいなのか

「離婚時の年金分割」の金額を計算するというのは、単純に夫(妻)の厚生年金額の半分ではありません。婚姻期間中に支払った厚生年金保険料を基に金額を算出するので、計算はかなり複雑になります。

でも「相手に内緒で金額を知りたい」というときは、「年金分割のための情報提供請求書」と所定の書類を年金事務所に出せば、「年金分割のための情報通知書」を受け取ることができます。これなら離婚前に相手に知られずに、分割後の受取額を知ることができます。この「年金分割」で受け取れる年金は、65歳になったときに自分の年金として支給されます。

この年金分割によって分けられる金額というのは、それほど多くはありません。D子さんの夫がもし請求したとしたら受け取れる金額は、年額約6万円です。月額にすると約5000円くらいです。D子さんの場合は、婚姻期間が12年でしたので少ない金額です。