昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

ソニー元CEOハワード・ストリンガー氏が明かした、出井さんとスティーブ・ジョブズの交際秘話

「“病気が完全に回復して元気になれば、イギリスに飛んで、あなたに直接会いに行きます。本当に久しぶりなので、積もる話がたくさんあります!”

 ついこの4月にもこんな連絡をくれていたのに、あの懐かしい出井伸之さんがまさか亡くなるなんて……。

 ちょっとした手術をするとは聞いていたから、病気であることは知っていました。5月の80歳の誕生パーティに大切なゲストの一人として招待したいと連絡を取り合っていたところだったのです。

 1月に電話で話したあと、“Covidのせいで本当に長い間、海外に行っていないので、私の英語もさびついてしまいました。私のゆっくりした会話をどうかお許しください”と丁寧に書いて寄越したことも思い出します。

 ソニー元CEOのハワード・ストリンガー氏(80、英在住)が6月2日に亡くなった出井伸之氏(ソニー元会長)の追悼文を「文藝春秋」に寄せた。

ハワード・ストリンガー氏

 1995年に大賀典雄から経営を託された出井氏は、IT時代の到来を予見し「デジタル・ドリーム・キッズ」をキャッチフレーズに、ソニーをものづくり一辺倒から転換しようとしたことで知られる。

 ストリンガー氏は、もともと米テレビネットワークCBSの経営者だったが、出井氏からエンターテインメント事業の建て直しを依頼され、ソニー・アメリカのトップにスカウトされた。

アメリカで経営者たちから尊敬された理由

「日本では、出井さんは英語の達人と思われているかもしれませんが、けっしてGreat Englishを話す人ではありませんでした。彼がアメリカで名だたる経営者たちから尊敬され慕われていたのは、高い知性があり、中身のある人物だったからです」

出井伸之氏 ©文藝春秋

 ビル・ゲイツ、アンディ・グローブ……世界の名だたる経営者と交流のあった出井氏は、当時の日本の経営者としてはずば抜けて国際的な知名度の高い存在だった。そして、あのアップルのスティーブ・ジョブズとはとりわけ親密な付き合いだったとストリンガー氏は明かす。ただ、2人の“交際”については必ずしも快く思っていなかった。

z