セミナーは45日間で1クールとなる。まず片付ける前には、家中の写真を全部撮ることで現状を把握してもらう。課題図書としてビジネス書でベストセラーになった『7つの習慣』を読んで、自分自身が習慣にしていたことを理解してもらう。例えば、人のせいにしていた、自分が主体的ではなかったと気づくと、改善すべきポイントが見えてくるからだ。さらに西崎さんが参加者に問いかけることがある。
「そもそも、あなたは何のために家を片付けたいのかということ。皆、それぞれ理由があるのです。子どもの友だちを呼べるようにしたい、育休から復帰したときに家事に追われたくない、家族のイライラがない家にしたいとか。どんな暮らしをしたいかということを引き出して、自分の言葉で明確なゴールを描いてもらうようにしました」
何を自分の未来に持っていきたいか
そのうえでもう一回家の中を見てもらうと、今まで残してきたものが大して必要ではなかったこと、自分がどんなものに執着しているかなどを分析できる。それは西崎さん自身も経験したことだ。離婚後まもなく、中3の息子から「もう友だちを呼んでいい?」と聞かれて、ハッとした。小学生の時は自宅が子どもたちのたまり場になり、ママ友たちもよく来ていた。だが、中学へ入るタイミングで前夫がリストラされ、家庭は荒んでいく。西崎さんは夫が家にいることを隠したくて、「もう友だちは呼ばないで」と言っていたのだ。
「離婚しても、前の主人が残していったものがいっぱいあったし、私がストレス買いしたものも増えていたので、2トントラックで2台分のゴミとして捨てたんです。すると、気持ちがすごくスッキリしたので、たぶん皆もそうだろうなと思いました。未来への不安から残しておいたもの、過去への執着心から捨てられないものもあったけれど、それを手放したら本当に自分がやりたかったことも見えてくる。何を自分の未来に持っていきたいかを見据えて、そこを目指すのです」