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家を片付けることで家族の関わり方も改善されていく。どんな暮らしをしたいかと考えていくと、自分一人でなく家族がチームになることも欠かせない。それが「家庭力」アップにつながるのだろう。

最初のセミナーは申し込みがたった1人だった

プロジェクトは2018年1月から福岡でスタートし、夏には東京で初めて開催した。それは西崎さんが数年ぶりに上京した際、学生時代の友だちから「東京で働くママたちはすごく大変」と聞き、仕事や家事、子育てに忙殺されているのでセミナーをやってほしいと頼まれていたからだ。

ところが、いざ説明会を開いても「やりたい」と声をあげてくれた人はたった一人……。何とか人づてに5、6人集めて、セミナー開催にこぎつけた。すると、参加者がブログに書いてくれ、それを見た大阪の人から「ぜひ大阪でも開催してください」と連絡があった。翌年には大阪でもスタートし、開催地が広がっていく。西崎さんはずっと一人で講師をしてきたが、受講生の中に整理収納アドバイザーの資格を持った女性がいて、彼女と二人三脚の体制に。翌2020年にはオンライン講座を開始した。

キャリア女性の家には地雷がある

これまでに1万件を超える相談を受け、全国から集まる受講者は1500人以上に及ぶ。フルタイムで働く女性たちは半数を占めるという。「片付けられない」と相談に来る人たちはどんな悩みを抱えているのか。

「うちの受講生はハイキャリアの人も多いんです。彼女たちはやはり良いお母さんでもありたいし、自分の人生も大事にしたいと思っています。けれど昔の日本的な価値観にしばられて、全部自分がやらなきゃいけない、夫に頼るのも悪いなどと思いがち。すごく真面目な方たちなのです。私はいつも『家事はアウトソーシングしていいんだよ』と勧めますが、家が片付いていないと他人には見せられないからアウトソーシングもできないと。結局、その前に立ちはだかるのは自分のプライドだったりするわけです。