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【第一部】 金融特集〈資産運用〉

世界的な資源価格の高騰に円安が重なり、物価上昇が止まらない。現預金で保管しておくだけでは、資産の目減りを招いてしまう環境といえよう。先行き不透明な相場環境の中で資産運用を始めるときの戦略や注意点を有識者に聞くとともに、こんな時代だからこそ検討したい金融サービスを取り上げる。

ファイナンシャル・プランナー 深野 康彦氏に聞く
長期・分散・積立による資産形成を無理のない金額で始めるタイミング

世界的なインフレで生活実感は苦しさを増している。物価上昇に負けない戦略的な家計を築くためにも何らかの対策を講じたいが、株式市場は大きな調整局面を迎えている。こうした環境下で我々がとるべき行動とは?専門家にアドバイスしてもらった。

消費者物価指数+2.3% 生活実感はそれ以上

ファイナンシャルリサーチ代表
ファイナンシャルプランナー
深野康彦氏
ファイナンシャルリサーチ代表
ファイナンシャルプランナー
深野康彦氏

 世界各国の株式市場が弱気相場入りしている。原因の一つは米国の積極的な利上げだ。金利の引き上げは、企業の収益を圧迫し、過熱した景気を冷やすと同時に、株価の低迷要因になるのだ。

 ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は、米国が利上げに前のめりな理由について「インフレ退治が目的です。そのために景気や株式市場が多少壊れてもやむを得ないと判断している」と指摘する。

 一方、日本でもインフレに関するニュースが引きも切らない。日銀は7月の金融政策決定会合で、2022年度の消費者物価指数の見通しを4月時点の1.9%から2.3%に引き上げた。ガソリンや食品など購入頻度が高いものほど価格が上昇しているため、生活実感としては、2.3%以上の物価上昇といえるかもしれない。同時に賃金も上昇すれば家計への負担は軽減されるが、残念ながら企業業績に先行して賃金が上がることはない。本格的な物価上昇は今年秋以降という話もある。資産が長引く物価上昇に負けないためにも何らかの対策を講じる必要がありそうだ。

低迷する相場環境 種まきのチャンス

 「岸田政権は、資産所得倍増計画を掲げ、その具体的な内容としてNISA(少額投資非課税制度)の拡充を挙げています。実現すれば、資産形成にとってはフォローの風です。さらに次の世界的な景気回復局面は、数年後になるでしょう。それまで株式市場は低迷する可能性が高い。種をまく時期と考えれば、悪くないタイミングです」(深野氏)

 2021年までの株式市場は、ほぼ米国株の一人勝ちだった。日本でも投資資金のすべてを米国株で運用する個人投資家が少なくなかった。深野氏は「これからも新たな企業やイノベーションが米国で誕生するでしょう。だからといって、米国が世界の覇権を握り続けられるかはわかりません。長期の時間軸で考えれば、資産が米国株式や米ドルに偏りすぎるのは、やはりリスクが高い。投資対象となる資産はもちろん、国や地域、通貨も分散した方が無難でしょう」とアドバイスする。

 国際分散投資を個人が実践するには、投資信託を使うのが合理的だ。世界各国の株式や債券、不動産などに少額から分散投資してくれる商品も少なくない。とはいえ、投資信託は種類が多く、どれを選んでいいかわからない初心者もいる。そんな場合は、ロボアドバイザーを使ったロボアド投資という選択肢もある。

分散投資とは?

●資産の分散
1つの資産だけに投資するより、値動きの異なる複数の資産に分散投資を行うことで、価格の変動が小さくなる

●地域の分散
投資先の地域を分散することで、より安定的に世界経済の成長の果実(利益)を得ることが期待できる
 

ロボアドの活用で国際分散投資を実現

 いくつかの質問に答えるだけでその人に最適な運用を実現してくれる点がロボアドのメリット。数あるロボアドサービスの中でも昨今では独自の運用戦略でより高い収益を追求するものや、投資評価額が過去最高値を更新しない限り手数料を徴収しないなど、顧客本位の仕組みで差別化を図る会社もある。

 すでに長期・分散・積立による資産形成を実践している人は、昨今の相場環境に不安を感じているだろう。中には積立投資をやめてしまおうと考えている人もいるかもしれないが、深野氏は「ここでやめてはいけない」と強調する。株価が低迷しているときは安値で仕込めるチャンス。これからしばらく継続するだろう調整局面を乗り越えてこそ、積立の効果が発揮される。

 「もしいま積立投資をやめたくなっているのであれば、それは無理な金額で行っている可能性があります。積立金額に無理がないか改めて家計全体から見直してもいいかもしれません」と深野氏。いまこそ長期・分散・積立による安定的な資産形成を無理のない金額で実践してほしい。

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