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「高すぎる。猫への解像度が…」気鋭の“猫研究者”が話題のゲーム『Stray』に感じた“正直な印象”とは

「高すぎる。猫への解像度が…」気鋭の“猫研究者”が話題のゲーム『Stray』に感じた“正直な印象”とは

『Stray』で描かれる猫の行動を専門家に聞くと…#1

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 みんなが「いいね」と言ったから、七月十九は“茶トラ”記念日ーーなんてパロディをしてみたくなるくらい、7月19日のTwitter上には茶色いトラ猫の動画が大量に溢れ返った。一体何があったのか。

『Stray』では、プレイヤーは迷子の茶トラになって未来都市をさまよい歩く(画像はPlayStation公式サイトより)

 この日、新作ゲーム『Stray』がついに発売されたのだ。「猫になってサイバーパンクな未来都市を散歩する」という斬新な世界観で、2015年の開発開始以降あらたな発表がある度に大きな話題となっていた作品である。

 待ちに待った「猫ゲー」の発売に、幾百万のゲーマーが心を躍らせた。猫好きも心を踊らせた。リリース後、『Stray』のプレイ動画はすぐさまSNSでシェアされ、大きな反響を呼んだ。

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 主要プラットフォームのSteamで早くも「2022年の最も平均評価が高いゲーム」となった異色作(Steam250調べ)。とりわけ好評を博したのは「猫ならでは」の動きを再現した遊び心あふれるアクションの数々と、その再現度の高さである。

 だが、一見リアルに見える『Stray』の猫は、実際どの程度リアルなのだろうか。あるいは、近未来の猫という設定を生かし、現代の猫とは異なる性質がひそかに描かれていたりもするのではないか。

 ここでは、「猫は同居している人や猫の名前を理解している」など、ユニークな研究成果を報告している気鋭の猫研究者である動物心理学者の高木佐保さんの見解を紹介する。(全2回の1回目/続きを読む)

◆◆◆

「高すぎる。猫への解像度が……」

――今日はTwitterで話題になっていた『Stray』のプレイ動画をご覧いただき、お気づきになった点をざっくばらんに伺えればと思います。まずはゲーム開始直後のチュートリアル的なシーン。他の猫に近づいてボタンを押すとコミュニケーションができることが示されます。

ツイッターより

高木 「猫への解像度が高い」と書かれていますが、たしかにすごくリアルな描写は多いですよね。例えばここ、このシーン。

 

高木 茶色の猫が三毛猫に近づいてから身体を弓なりにしていますよね。これは猫の“挨拶”なんですけど、非常に再現度が高い動き方だなと思いました。

――定番の挨拶なんですね。たしかに見たことあるような動作です。

高木 欲を言えば、茶色い猫がしばらく尻尾を上げ続けて「三毛猫が茶色のお尻のニオイを嗅ぐ」という動作が入るともっとリアルです。

 今は弓なりになった後サッと座っちゃってますが、お尻のニオイにはすごい情報が詰まっていて、それを相手に嗅がせることが挨拶になるわけなので。