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大谷翔平(28)新球ツーシーム導入で二刀流は「最終形態」へ “超人化加速”でエンゼルスは「残留遠のくジレンマ」

大谷翔平(28)新球ツーシーム導入で二刀流は「最終形態」へ “超人化加速”でエンゼルスは「残留遠のくジレンマ」

2022/08/21

 二刀流が進化の最終形態に突入したことを、はっきりと印象づけた。

 米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(28)は8月15日のマリナーズ戦で、新球ツーシームの封印を解いた。右腕なら右打者の手元でやや内角に沈ませるなどメジャーではポピュラーな球種で、黒田博樹や田中将大らも渡米後にマスターし、打たせて取る投球で球数の消費を抑えた。フォーシーム(直球)と球速が近く、腕の振りも同じだが、ボールが1回転する間に縫い目(シーム)が4回か2回かに違いがある。他の変化球に比べて肩、肘への負担が小さく、かねて大谷にも習得の必要性が指摘されていた。MLB解説者が語る。

「ついに使ったかという感じ。奪三振で話題を呼んでいたが、ただでさえ二刀流で負荷が高いため、力投だけでは体が持たない。1球で打ち取る投球に変えていかないと、メジャーでさらに上に行けないと思っていた。投手として完成の域に入ろうとしている」

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8月15日のマリナーズ戦で、新球ツーシームの封印を解いた大谷翔平 ©時事通信

異例のシーズン途中の新球導入

 シーズン中に新たな球種を導入することは極めて異例だ。大谷はその意図を「(球種が)1個増えた方がいいというか、別に要らないボールではないですし、必ず必要なボールでもないですけど……。楽しく投げるために必要かなと思います」と説明した。

 大谷と言えば、高速で鋭く落ちるスプリットが代名詞だったが、今季は横に大きく曲がるスライダーが進化し、奪三振の山を築いている。緩急をつけるカーブ、カットボールも持ち球だが、打たせて取る投球にシフトするにはツーシームは不可欠な球種だった。

 大谷はその前の登板で10勝に到達した。ベーブ・ルース以来、104年ぶりの「2桁勝利、2桁本塁打」の快挙を達成した。数字的な大きな目標に届いたことで、ツーシームをテストできる状況になったと言える。

 既にブルペンでは試していたそうで、「ちょこちょこ、遊びで投げたりしてましたし、いいアクセントになってるかなと思います」と大谷。8月15日の登板では6回2失点、8奪三振で勝利投手にはなれなかったが、確かな手応えを口にした。

「明らかに来季以降を見据えた投球に変えた。十分に使えるめどを立て、来季は開幕から駆使するのかもしれない。アウト一つ取るため三振は3球要るが、ツーシームなら1球で済む。1試合当たりの投球回数を増やすには最適な球種」(同前)

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