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きっかけは34年前の仙台育英VS尽誠学園。ぼくが高校野球好きになったわけ

文春野球コラム ペナントレース2022

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 僕は東北楽天ゴールデンイーグルスを応援している。

 ファンになったきっかけの一つは、お世辞にも強いとは言えないチームが魅力的だったからだ。これから強くなるしかないチームを応援する事にワクワクしたのをよく覚えている。そして球団創設9年目の2013年、ついに日本一になった。嬉しかった。大阪市内にある谷町筋を自転車に乗って一人優勝パレードもした。

 長い道のりだったぁ。長い道のりだった? のか?

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 僕自身はイーグルスが誕生するずっとずっと前から高校野球が好きだった。高校野球を好きになった子供の頃は東北のチームに強いイメージなんてなかった。だから地元関西のチームが1回戦で東北勢と当たると「よっしゃ!」ってガッツポーズだった。ある学校を除いては……。

第104回全国高校野球 決勝 下関国際対仙台育英 仙台育英が東北勢悲願の初優勝 胴上げされる仙台育英・須江監督 ©時事通信社

高校野球を好きになったきっかけ

 小学生の時、親父に連れていってもらった夏の兵庫大会準決勝戦の神戸弘陵vs津名高校の試合が、高校野球を好きになるきっかけだった。家の近所の津名を応援したが神戸弘陵にはかなわなかった。そしてその夏、初めて足を運んだ甲子園で尽誠学園の宮地克彦選手に魅せられファンになった。細身の左腕に妙に色気を感じ、学校で使う透明の下敷きには週刊ベースボールから切りぬいた宮地克彦の白黒の写真を差し込んでいた。

 迎えた準決勝、尽誠学園が陣取る一塁側ベンチの真後ろで応援した。相手のエース大越基選手はダイナミックな投球フォーム。「お前達になんか負けるかよ」の険しい表情が小学生の僕からは近所の恐いおっちゃんにみえた。試合は延長戦の末3ー2で尽誠学園は敗れてしまう。

 そう僕の夢を奪ったのは大越基率いる仙台育英であった。

 決勝戦で仙台育英は帝京高校に敗れたものの、小学生の僕ですら甲子園準優勝の仙台育英は近く全国制覇を成し遂げる学校だと勝手に思い込んでいた。まさかあの準優勝から34年かかるなんて……。その間には同じ宮城から東北、青森からは光星学院、秋田の金足農業とあと一歩の所までくる学校や、岩手からは菊池雄星、大谷翔平、佐々木朗希と球界を代表する選手が現れ、東北勢と当たれば「よっしゃ!」なんて時代はとうに終わりを告げていた。

 そして僕自身もその間に東北は宮城に本拠地を置く新しく出来た球団のファンになり、甲子園での地元関西のチームと東北勢の対戦が「よっしゃ!」から「いきなりかよぉ……」に変わっていった。

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