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恐る恐る首を突っ込んでみると…深夜の山奥のプレハブ小屋から出てきた“女の正体”に戦慄「思い出の場所だったのに」

恐る恐る首を突っ込んでみると…深夜の山奥のプレハブ小屋から出てきた“女の正体”に戦慄「思い出の場所だったのに」

招きプレハブ #2

2022/09/04
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 ライブ配信サービスTwitCastingの怪談語りチャンネル「禍話」。2016年から始まったこのチャンネルでは、これまでに2000話を超える怪談が紹介されており、多くのホラーファンを惹きつけている。

 同チャンネルでホストを務めるのは、北九州に住む書店員のかぁなっき氏と、映画ライターの加藤よしき氏だ。

 今回はかぁなっき氏が知人のSさんから聞いたという友人3人の体験談、「招きプレハブ」を紹介する。山奥に出現した謎のプレハブ群で若者たちが見た、“ありえない存在”とは一体――。(全2回の2回目/#1を読む)

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◆ ◆ ◆

スマホのライトに照らし出された大量のプレハブ小屋

 そのプレハブ小屋は20棟以上あった。小屋には窓が1つずつあったが、明かりが点いている小屋はひとつもない。Aさんたちが照らすスマホのライトの明かりを反射しているだけだった。

 しばらく近づけずに辺りの小屋を照らしていたが、特に変わった様子はない。

©iStock.com

「これだよな……」

 黙って突っ立っていた一行のうち、最初に口を開いたのはBさんだった。

「マジであったじゃん」

「うん。まあ、でも正直普通のプレハブ小屋だな。簡易的なやつというか」

「何に使ってたんだろうな、こんなにいっぱい」

「正直、中に椅子があったら座りたいんだけど……」

「いや、マジでそう思ってたわ」

 Cさんのセリフに少し気が緩んだ一行には、思いのほか長距離を歩いたためか疲れがにじんでいた。

「ちょっと見たら帰るか」

「そうだな」

「入る? 中?」

 Aさんが振り返りながら問いかける。

「マジで言ってんの?」

「いや、だってここまできて中見ずに帰るのもそれはそれでもったいないだろ」

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