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旧統一教会で日本人妻7000人が韓国に嫁いだのはなぜか

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 安倍元首相の暗殺事件以降、日本で旧統一教会の現役信者の話を聞くのは難しいが、本部がある韓国でも「かん口令」が布かれており、同様の状況にある。だが、そんななか現職の韓国人教会長と現役日本人女性信者がノンフィクションライター・甚野博則氏の取材に答えた(「文藝春秋」10月号「日本人妻の奉仕と呪縛」)。

 現職の教会長がメディアのインタビューに登場するのは今回が初めてだ。

 8月20日、甚野氏が訪れたのは、首都ソウルから車で2時間ほどの利川(イチョン)市。市内中心部にある「利川家庭教会」を訪ねると、韓国人牧師のキム・ジョンヨン教会長が取材に応じた。

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合同結婚式

 甚野氏は記事の中でこう書いている。

〈笑顔で部屋の中へ手招きした彼の表情はわずかに強張り、時折、視線を泳がせながら、安倍晋三元首相殺害事件についてこう語り始めた。

「安倍さんについては(これまでの教団との関係に)極めて感謝しており、また、申し訳ない気持ちです。山上徹也容疑者の母が献金したのは20年も前のことです。それを今になって教会に責任転嫁するのは、自分が社会に適合できなかったことへの言い訳ではないでしょうか」〉

今も韓国で暮らす日本人女性信者は約7000人

 旧統一教会関係者によると、合同結婚式で韓国人男性と結婚(いわゆる韓日祝福)し、海を渡って今も韓国で暮らす日本人女性信者は約7000人にものぼる。キム氏によれば、利川だけでも約100人の日本人女性信者が暮らしている。

 利川市に住む佐藤絵里氏(仮名、50代)は、1997年の合同結婚式に参加し、韓国人男性と結婚した現役日本人信者の一人だ。「何も隠すようなことはないですから」とインタビューを受けることを承諾した。

 ワシントンで行われた合同結婚式には一人で参加。韓国での「祝福式」で初めて出会った夫は造園業の見習いだったため家は貧しく、月の生活費は二万円くらいしかもらえなかったという。そうした貧しい生活の中でも献金は求められた。

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