昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

ダウン症の息子を生んで「消えてしまいたい」と泣いた…作家・岸田奈美さんの母、ひろ実さんを救った「夫のひとこと」

source : 提携メディア

genre : ライフ, 人生相談, ライフスタイル, 社会

2022年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。教育・子育て部門の第5位は――。(初公開日:2022年6月19日)

岸田ひろ実さんは長男の良太さんを出産したとき、分娩室では誰からも「おめでとう」とは言われなかった。それは良太さんがダウン症だったからだ。岸田さんは「当時の私は『なんで普通に産んであげられなかったんだろう』と悩み、夫に『良太と2人で消えてしまいたい』と泣きながら訴えました。そのときの夫の一言で、私は救われました」という――。

※本稿は、岸田ひろ実『人生、山あり谷あり家族あり』(新潮社)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/west ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/west

ダウン症と知的障害を抱える息子、良太の誕生

2021年、26歳になった良太。

良太には生まれつきダウン症という染色体の異常があり、重度の知的障害があります。特別支援学校高等部を卒業した後、作業所(就労継続支援B型)に通っています。

優しくて明るくて、家族のアイドルで、とても頼りになる存在。それが我が息子、岸田良太なのです――。

今となっては息子の良太のことを紹介する時には、こんなふうに自慢の話になってしまいます。でも、ずっと前、良太が生まれてから少しの間はそうではありませんでした。

長女の奈美が4歳になった年、1995年11月5日に長男の良太が誕生しました。

誕生前の2カ月は、切迫早産の心配があったため、私はほぼ寝たきり状態で母や義母に家事を助けてもらっていました。何もできないもどかしい気持ちは日に日に大きくなっていましたが、それも赤ちゃんが無事に生まれてくれるためと思い、その時を楽しみに待ち侘びていました。

そして待ちに待った出産の日。

オギャーッと元気な産声が聞こえた時、嬉しさと、寝たきりで大変だった日々の全てが報われたような心地になりました。でもすぐに、なにか様子がおかしいということにも気づきました。

z