女は鍵を無くした住人のふりをして鍵業者に玄関を解錠してもらうと、家人のいない室内で元カレとの再会を何時間も待っていた。友人らと酒食を楽しんで帰宅した元カレは、部屋に入るなり闖入者と遭遇することとなる。その後、2人は口論となり、女は元カレが自分の思い通りにならないことを悟ると、用意していた鋭利なナイフで相手を一方的に突き刺し、ネクタイで首を絞めてとどめを刺した――。

 かつて交際していたAさん(当時35)に対する殺人の罪に問われた千葉県浦安市の無職、高橋舞被告(31)。9月5日、横浜地裁で判決公判が開かれ「関係修復に応じない被害者を殺害するというのは飛躍しており、身勝手極まりない」として、懲役15年が言い渡された。

 事件発生当時、ネット上で“美人過ぎる殺人犯”と注目を浴びた高橋容疑者だが、その容姿からは想像もつかない執拗で残虐な犯行の動機とは何だったのか。

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「束縛が強すぎる」と非難され、不満を募らせていた

 事件は2020年10月29日の未明に発生した。現場となったのはAさんの自宅だった川崎市高津区の真新しいマンションだ。検察側の冒頭陳述によると、2019年12月に高橋被告とAさんは知り合い、交際を開始している。翌20年6月には、Aさんが購入したとみられる現場マンションで2人は同棲を始めた。

写真はイメージ ©iStock

「Aさんは税理士の資格を持ち、収入も高かったようです。ただ同棲当初から、Aさんは『高橋被告の束縛が強すぎる』と被告本人にも周囲の知人にも話していたといい、それに対して高橋被告は不満を募らせていました。

 同年8月には高橋被告が家を出て別れましたが、すぐに復縁。それでも高橋被告の束縛が強く、2人はけんかを繰り返していました。そして交際から1年も経たない10月26日、Aさんは別れを告げ連絡を絶ちました。高橋被告は何度もメッセージを送ったといいますが、返信はありませんでした」(大手紙神奈川県警担当記者)