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創造性がなくなるので、アイデアも出てこなくなり、考え方も平板になります。実際に症状は様々な形で現れてくるのですが、前頭葉の老化を示す萎縮の様子は、MRIなどの画像でははっきりと見てとれるにもかかわらず、本人はなかなかその症状に気づかないという厄介さがあります。

前頭葉の機能は、いわば「人間らしさの源泉」ともいえるのですが、使わなくても不自由はしませんし、生きていくことはできます。この点が、前頭葉の老化を自覚しにくくしているといえるでしょう。

「家庭内離婚」「仮面夫婦」状態を打破する

「家庭内離婚」「仮面夫婦」を続けるうちに、前頭葉はどんどん老化していく。そんなことになるくらいなら、すっぱり別れて新しい可能性を追求したほうがいい。

「熟年離婚」という言葉がすっかり定着して久しい昨今ですが、そんな離婚の多くは、妻側からの申し出によるもの。ある日突然、離婚届を突き付けられて慌てるのは夫のほう。

しかし仮にここでいったん元のさやに収まっても、その後もこれまで通り一緒に暮らしていけるのか――もちろん、「とりあえず」一緒に暮らしていくだけならできなくもありません。惰性で、いわゆる「家庭内離婚」「仮面夫婦」を続けながら。しかしこれほど、互いの脳にダメージを与え合う関係もありません。まず、我慢。これが前頭葉機能を低下させます。

さらに、惰性でずるずるの生活では前頭葉を刺激するチャンスもありません。そんな生活を続けるくらいなら、すっぱり別れて、再婚活でもして第二の結婚生活に踏み出すことも選択肢のひとつとして考えたほうがよいのではないか、と私は思っています。

さらに、人生80年もあるなら生涯2回結婚制というのも「アリ」ではないかと思います。

子供を産み育てるための結婚と、晩年の人生を本当に気の合う人とともに送るための結婚と――そのほうが新しい可能性も開けてくるというものです。

「そうは言っても今さら自分の生活は変えられない」、まずはその思考を変えることです。

和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授
1960年大阪市生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科、老人科、神経内科にて研修、国立水戸病院神経内科および救命救急センターレジデント、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院・浴風会病院の精神科医師を経て、現在、国際医療福祉大学赤坂心理学科教授、川崎幸病院顧問、一橋大学・東京医科歯科大学非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長。

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