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《旭川14歳少女凍死》“被害者母”が明かした学校や加害者への“言葉にならぬほどの無念”「娘は軽い気持ちで死を選んだわけじゃない」【最終報告書公表も再調査へ】

旭川14歳少女イジメ凍死事件 ♯34

genre : ニュース, 社会

「長い時間をかけての調査でしたが、最終報告書のなかで新しくわかった事実はなく、残念でした。本当はこの最終報告でいい結果を爽彩(さあや)に伝えてあげたかった……」

 旭川市教育委員会から「第三者委員会の最終調査報告」を受けた爽彩さんの母親は、文春オンラインの取材に言葉にならない思いを語った――。

廣瀬爽彩さん

イジメと自殺の因果関係について明確にしなかった最終報告書

 2022年9月20日。昨年3月に廣瀬爽彩さん(当時14歳)が遺体となって見つかってから1年半、過去に類を見ない凄惨なイジメを受けてから3年半が経ったこの日。

 旭川市教育委員会は、イジメについての事実確認や爽彩さんが亡くなったこととの因果関係について、約160ページに及ぶ最終報告書を市議会に提出した。黒蕨真一教育長は市議会で次のように謝罪の言葉を述べた。

「学校の対応について、イジメとして認定せず、重大事態として対処しなかったことは明らかな誤りであること。深く反省して厳粛に受け止めている」

 再調査を行なってきた第三者委員会は今年4月に公表した中間報告通り、「イジメとして取り上げる事実があった」と最終報告でもイジメを認定。性的なイジメ、深夜の呼び出し、おごらせる行為など中学の先輩7人が関与した6項目をイジメだったとした。

 だが、爽彩さんの死については、文春オンラインの既報通り、「自殺と考えられる」との見解を示したものの、イジメとの因果関係については明確な判断を示さなかった。

旭川市教育委員会 ©文藝春秋

「イジメと定義する範囲を限定する」第三者委員会の独自解釈

 また、今回の最終報告書では、調査を行なった第三者委員会の独自の見解によってイジメの定義が縮小され、認定されている7人の加害者生徒の行為以外に爽彩さんが学校のクラスで受けていた数々の事案について、「これらはイジメとは言えない」と否定されていたことがわかった――。

 調査関係者によると、「遺族側は更なる再調査を要望している」という。特に遺族側が問題視しているのは、第三者委員会が独自に示したイジメの定義に関する「限定解釈」。これは法律の「無視」にもあたる非常に不可思議なものだという。

「第三者委員会は報告書の中で、いじめ防止対策推進法の『イジメ定義』は広範に過ぎるもので『非難に値しないようなものも含まれる』として、批判しています。

イジメがあった公園 ©️文藝春秋

 つまり、法律上で定められたイジメの定義を個々の事例に当てはめると、なんでもかんでもイジメと認定しなくてはいけなくなってしまう。しかしながら、すべてイジメとひとくくりにし、生徒に『それはイジメだ』と言って、指導をしても “加害者の心理”を萎縮させるだけである。そうすることは教育的な観点から望ましくないから、イジメと定義する行為については範囲を限定すべきだ、という“独自の解釈”を示したのです。

 この独自解釈を示したうえで、第三者委員会は最終報告書では『社会通念におけるイジメ』として認められるものだけ『イジメ』として認定した、と記しています。その結果、クラスメイトから爽彩さんが受けた嫌がらせなどについては、法律上の定義を無視して、イジメと判断するにはあたらないと結論付けたのです」(同前)

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