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弱音を吐かない、出世しなければいけない、妻子を養わなければならない。そんな旧態依然とした「男らしさ」に縛られているがゆえに、誰にも悩みを打ち明けられずに自分をここまで追い込んでしまうのではないかと思うと……。男性がすごく心配という気持ちは、今も昔も変わりません。

出世圧力に追い詰められ自信をなくしていく

――なぜ多くの男性が「出世しなければならない」と感じてしまうのでしょうか。

旧態依然とした「男らしさ」のジェンダー規範に沿おうとすると、男性はどうしても出世して社会的評価を得なければならなくなりますよね。また、人間には人から認められたいという承認欲求があるとされています。男性の場合は、社会から高く評価されたいという承認欲求と、自分は「男らしさ」を具現化するための勝負に勝ったんだという自負が結びつきやすい。出世は、まさに「男らしさ」を認めてもらう究極の象徴なのです。

ただ、最初に申し上げましたように、ポスト削減は昔から始まっているし、多くの人は給料も上がらないし、人件費削減がどんどん進んでいるので一握りの人しか出世できません。「男らしさ」を実現するのがかなり難しい状況の中で、出世圧力に追い詰められる男性が増えているのです。

「正規雇用になれば結婚できる」と考えていた40代男性

非正規雇用の男性にとっては、正規登用されることが出世に近い状態です。しかし、運よく正社員になれても、「男らしさ」の呪縛からはなかなか解放されません。

学卒期が就職氷河期と重なってしまった小川さん(仮名)は、非正規雇用で、派遣スタッフや契約社員の職を転々としてきました。経済力がないことを理由に女性に対する自信を失っていた小川さんですが、2013年に施行された改正労働契約法の「無期転換ルール」を追い風にして18年にジョブ型正社員に登用され、さらに翌年44歳で同業他社に正社員として転職を果たしました。

それを機に、「雇用形態に負い目を感じて女性から逃げなくても、堂々としていられます」と、精力的に婚活を始めます。しかし、いざ婚活を始めてみると、正社員であること以外にも女性から求められる条件の多さに疲弊し、「まるで粗探しをされているようだ」と、女性に対する自信を再び失ってしまいました。