日本航空(JAL)の連結子会社の格安航空会社、スプリング・ジャパン(以下、スプリング)が佐賀県から受給している助成金「広報活動負担金」が、予算通り満額受給するために不明朗な形で使われている疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。現役社員や佐賀県の関係者が証言した。

中国の格安航空会社「春秋航空」をJALが子会社に

 スプリングは、中国の大手格安航空会社「春秋航空」が日本の複数の企業と共同出資して2012年に設立された。

「旧社名は『春秋航空日本』。“中国特化型LCC”としてスタートし、2014年に国内線の運航も開始しました。しかし、設立以来赤字が続き、2017年からは負債が資産を上回る債務超過に。さらに、コロナ禍の影響で業績が急降下。そこで2021年6月、JALが春秋航空以外の出資者から株式を取得し、連結子会社化。同年11月、スプリング・ジャパンと社名を変更しました」(経済部記者)

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春秋航空とスプリングの違い(HPより)

 拠点は成田空港。現在就航している路線は、国際線は天津、ハルビン、南京の3都市、国内線は札幌、広島、佐賀の3都市である。

 その中でも、「儲からない路線」と社員が口を揃えるのが佐賀路線だ。8月30日、スプリングは10月末から3月末まで成田-佐賀線の運航を週3往復から週1往復に減便すると発表。「将来的な廃止は既定路線」(同社社員)だという。

 そんな同社の佐賀路線を佐賀県は“公金投入”によって支援してきた。佐賀県関係者が語る。

「2014年から佐賀県は『広報活動負担金』という助成金をスプリングに支給し続けています。金額は毎年2000万~5000万円程度です」

佐賀県の山口祥義知事(県HPより)

 広報活動負担金とは、成田-佐賀路線の利用促進を図るために、スプリングが行う広報活動に必要な経費を佐賀県が負担するもの。これまでのスプリングの受給額は累計2億8000万円に上る。また、「負担金の支払い後、もし仮に広報活動の実態が無いということになれば、相当額の返還を求める」(佐賀県広報担当者)という。支給額は全て経費として使用することが前提となっているのだ。

 しかし、前出の佐賀県関係者が明かす。