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基礎年金だけしか払っていない私のような自営業者は、(20歳から60歳までの)40年間全期間の保険料を払い続けた人で満額78万900円(2021年)。月額6万5075円です。

厚生年金を受けている人に比べると一人約5万5千円少ない。数字を見ると、確かに不安になります(※2022年4月より月額6万4816円に減額)

それぞれの事情は違うものの、自営業者の方でいま50代の人の切実な訴えが多かったのはそのせいかもしれません。

自営業者は収入に波があるので、収入のなかった月や年には1万円(1990年には月額8400円、1993年1万500円、2018年1万6340円、2022年1万6590円)の年金を払うのさえきついことがあります。私自身、子育てと家賃などの支払いに追われ、年金を滞納したことが何度もありました。玄関のチャイムが鳴るので出たところ、「年金の支払いをお願いします」とインターフォン越しに大きな声で言われたこともあり、恥ずかしい思いをしたものです。

「平均」に捉われるのはやめよう

それはともかく、私自身、そんな「一般的な数字」を知っていたら不安になったのは間違いありません。

「一般的」「平均」――。

それ以下の年金額では「下流老人」などと呼ばれ、こんな少ない額では老後破綻を起こす、起こしている、「平穏で健康的な生活はできない」と言われているようです。実際どんな雑誌や本を眺めても、この平均受給額を最低としていて、それ以下の自営業者の年金額を対象にしたプランはなかなか見当たりません。

この先、経済の停滞や少子化の影響もあり、少ない年金しか受け取れない人々の不安が大きくなるのも無理はありません。こういった「平均」の数字がどれほど人に恐れと不安を与えるものかがよくわかります。

年金に限ったことではなく、この「平均」の数字や言葉に、私は長い間惑わされてきました。生活費だけではなく、教育費、生命保険額……。