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俳優・松重豊の悩み「昔から台詞覚えが悪く…」に中野信子はどう答えるか

中野信子の人生相談#3

2022/11/06

 みなさまのお悩みに、脳科学者の中野信子さんがお答えする連載「あなたのお悩み、脳が解決できるかも?」。今回は、「セリフ覚えが悪い」と悩む俳優の松重豊さんに、中野さんが脳科学の観点から回答します。(全3回の3回目。#1#2を読む)

中野信子さん ©文藝春秋

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ギブミー前頭葉──59歳・俳優・松重豊からの相談

――中野先生がレギュラー出演されているNHKBSプレミアム『英雄たちの選択』でナレーションを担当しております俳優の松重豊と申します。9年目に突入する長寿番組ですがわたくしは長年モニター越しに見る中野さんの笑顔に毎回魅了されてきました。あの番組では原稿を読むことだけに専念できるためつい余計なものに目が行ってしまいがちです。しかし本業の俳優のお仕事は読むのではなく覚えなければなりません。

 

 ここ数十年わたくしは記憶とひたすら向き合ってきました。昔から台詞覚えが悪く、一旦自身で紙に書き起こしてから持ち歩き、何日もかけて頭に入れるといった手法でしか定着しません。早い方は熱転写するが如く台本の頁ごと脳内にインプットする俳優さんもいらっしゃいます。ほんの数時間で数頁にわたる長台詞をマスターする主役の脳内をかねがね羨んできました。

illustration: Ayumi Itakura

 

 わたくしも間も無く還暦を迎え、衰えゆく脳力との形勢不利な戦いの日々です。連ドラの最終週など収録前日に台本が渡されることなどザラな世界、今後の努力の道筋を笑顔の中野先生に導いて頂きたく筆を執った次第です。よろしくお願いいたします。

 こちらこそ、松重さんの心に響くナレーションをいつもカッコいいな、ステキだなと思いながら拝聴しています。私のほうからはナレーターのお顔を見ることができないので、スタジオで直接お目にかかる機会がないことをとても残念に思っていました。