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かほるが書いてくれた一通の紹介状が、明宏の運命を拓く。

「銀巴里」は、伝説のシャンソン喫茶である。昭和二十六年の開店当初は、デラックス・キャバレーだった。店内にはダンスホールとラウンジを備えて、大勢のホステスを雇っていた。ステージ上では、原孝太郎率いる六重奏団がアルゼンチン・タンゴを演奏していた。

明宏は、毎日「銀巴里」に通って、原の指導を受けた。名伯楽を得て、明宏の歌は急速に上達した。シャンソン、タンゴのほかに、ラテン音楽にまでレパートリーを広げて、十七歳の明宏は、「銀巴里」のステージでプロデビューを果たした。

岡山 典弘(おかやま・のりひろ)
作家、文芸評論家
愛媛県松山市生まれ。松山大学卒業。自治大学校卒業。愛媛県庁勤務後、2016年4月から松山大学非常勤講師(日本文学)。伊予銀行の審議役を経て、現在、いよぎん地域経済研究センター(IRC)主席研究員。柔道三段。主な著書に、『青いスクウェア』(日本文学館)、『三島由紀夫外伝』(彩流社)、『三島由紀夫の源流』(新典社)、『五〇人の作家たち 日本文学って、おもしろい!』(新典社)、『三島由紀夫が愛した美女たち』(MdN新書)がある。

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