甲状腺疾患は、女性に多い自己免疫疾患であり、バセドウ病と橋本病に代表される。甲状腺と糖尿病の専門クリニックとして、検査結果が1時間後にわかり、同日に治療計画を提案するなど、患者を第一に考えた治療を進める、姜内科クリニックの取り組みを聞いた。

院長
姜 信午
Kang Shino
2005年関西医科大学卒業。同大学付属病院、市立ひらかた病院、康生会武田病院糖尿病内分泌内科、神甲会隈病院などを経て、2018年に開業。日本糖尿病学会認定糖尿病専門医、日本甲状腺学会、日本内分泌学会などにも所属。
検査から約1時間で結果判明 同時に治療方針も
「姜内科クリニック」は、バセドウ病、橋本病、甲状腺腫瘍等の甲状腺疾患、糖尿病や生活習慣病を専門的に診療する。姜信午院長は、甲状腺の専門病院などで研鑽を積んだ後、40歳で独立。クリニックは患者さんの通いやすさを考え、駅近に立地している。
同クリニックは、甲状腺ホルモン・甲状腺自己抗体の血液検査機器を備えているため、採血から1時間ほどで結果を説明する。甲状腺腫瘍の精密検査(穿刺吸引細胞診)を受けることも可能だ。「検査を外部に委託すると、タイムラグができてしまう上に、使用する機械のメーカーや試薬がその都度変わることがあります。当院の検査は同じ機械で、同じ会社の試薬を使うので、正確に、スピード感を持って患者さんに検査結果をお伝えすることができ、同時に治療計画も提案します」。患者は、仕事をしている、妊娠中、不妊治療中、高齢で頻繁に通院するのが負担など、さまざまな事情を抱えて通院することが多いため、「設備を整えて、患者さんの通院回数をできるだけ減らしたい」と姜院長は話す。


姜院長は甲状腺だけではなく糖尿病専門医でもある。「実は、甲状腺の治療をすればコレステロールのバランスが良くなるのに、それを調べないままコレステロールを下げる薬を飲み続けているケースもあります。また、糖尿病の中でも、生活習慣には関連しない1型糖尿病は2型糖尿病に比べて甲状腺の病気の合併率が高いので、その点は気を付けなければなりません」。甲状腺疾患と糖尿病との関連性に詳しい姜院長だからこそできる診察である。
スタッフ全員が患者さんのために考えて動く
バセドウ病の治療方法は主に、抗甲状腺薬、甲状腺を摘出する外科治療、アイソトープ療法の3つ。橋本病の治療は甲状腺ホルモン補充療法を行う。「当院では抗甲状腺薬を用いた治療を行います。また、多くの病院と連携しているので、バセドウ病について外科手術が必要な場合は、隈病院など、アイソトープは赤十字病院や住友病院などの、いずれも私が信頼できる先生に対応をお願いしています」。

クリニックには、院長のほかに、看護師や事務員など、多くのスタッフが患者のために判断し、動いている。「スタッフには、自分の役割以外でも患者さんにとって必要であればやってほしいと伝えています。その時の判断基準は患者さんのためになるかどうか。クリニックのモットーは『三方よし』です。『患者さんよし、社会よし、当院よし』の実現で、社会貢献できる医療機関となる事をめざしています」。
