文春オンライン

【スーパードクター2023】患者さんのニーズを見据えた先進的医療を目指して

順天堂大学医学部附属 順天堂医院

2022/11/28

院長
髙橋 和久
たかはし・かずひさ/1985年順天堂大学医学部卒。米国ハーバード大学医学部附属マサチューセッツ総合病院がんセンター留学、順天堂大学医学部呼吸器内科学講座教授、同大学医学部附属順天堂医院副院長などを経て、2019年より現職。

すべての患者さんに安全を基盤にした適切な医療を提供

患者満足度調査を病院改革に活用

 当院は特定機能病院として高度で先進的な医療を提供する使命を担っています。特別な病院というイメージが強いかもしれませんが、一番大切にしているのはすべての患者さんに安全な医療を提供すること。他の病院ではできない高難度の手術も、安全が担保されていなければ不安が募るだけで、満足につながることはありません。そして公平を重視し、救急やさまざまな事情で紹介状のない患者さんも、しっかりと診療しています。

 こうした姿勢の根底にあるのは、「すべては患者さんのために」というペイシェント・ファーストの考え方です。当院では、患者さんが何に困っているのか、どんな医療を求めているのかを知るため、1994年から毎年、患者満足度調査を実施し、調査結果を活用した病院改革に取り組んできました。

 たとえば要望が多かった「会計や調剤の待ち時間」の対策として、クレジットカード情報の事前登録による自動決済サービスや、薬を後送するサービスを導入。待ち時間を大幅に短縮することができました。医療面で関心が高かった低侵襲のロボット支援下手術は、現在日本で3番目に手術数の多い施設になっています。

 また、病気によっては複数の診療科にかからなければならない患者さんの負担を軽減するため、診療科の垣根を越えて医療を提供する「センター」を設置しました。たとえば「脊椎脊髄センター」では、骨や筋肉を得意とする整形外科医と、神経を専門にする脳神経外科医が協力。「足の疾患センター」は、足の痛みから難治性潰瘍、糖尿病壊疽に対する再生医療まで、あらゆる足のトラブルに対応しています。患者さんは診療科を渡り歩くことなく、各分野の専門家の知恵を結集した適切な医療を受けられるようになりました。

革新的な研究で医療の進歩に貢献

 新たな治療法や医療機器の開発に向けた「先進医療」や「臨床試験」にも力を入れています。全国に14しかない臨床研究中核病院として、国際水準の臨床研究をリードすると同時に、他施設の臨床研究も支援するなど、日本の医療全体の底上げに貢献しています。

 私たちが目指すのは、自分や家族が病気になった時に「受診したい」と思える病院。スタッフ一丸となって、努力を続けていきます。

順天堂の先進医療・難病医療の取り組み

患者さんを包括的にサポート[難病医療支援外来]

副院長
山路 健 教授
1988年順天堂大学医学部卒。2019年より膠原病・リウマチ内科教授。

 当院は難病医療に積極的に取り組んできた実績があり、2017年からは東京都難病相談・支援センターを受託し、療養相談や就労支援などを行ってきました。その知見と経験を活用し、患者さんにワンストップで医療と支援を提供する「難病医療支援外来」を設置。併設する「メディカル・コンシェルジュ」が調整役となり、専門性の高い医療を提供するとともに、専門医、看護師、臨床心理士、管理栄養士などさまざまな専門職がチームで患者さんを支えています。また地域のかかりつけの医療機関とも連携して情報を提供するなど、患者さんが安心して生活できるネットワークも構築しています。

かかりつけクリニックでも、順天堂に準じた医療が受けられる。予約の確認や薬の配送など、通院支援のアプリも充実。
かかりつけクリニックでも、順天堂に準じた医療が受けられる。予約の確認や薬の配送など、通院支援のアプリも充実。

患者さんの生活を重視した治療を[脳神経外科]

近藤 聡英 教授
1999年順天堂大学医学部卒。米国ノースウェスタン大学などを経て2020年より現職。

 当科は年間1000件以上の手術を行っており、稀な病気や高難度の手術など、あらゆる病態に対応できる体制を整えています。

 最も大切にしているのは、治療後の生活を見据えた治療を行うこと。脳神経は運動や感覚などさまざまな神経機能にかかわっているため、たとえば脳腫瘍の切除術後に運動障害が出るなど、手術によって機能を犠牲にしてしまうこともあり得ます。そこで手術では最新鋭の機器と、医師の技術と経験を組み合わせ、できるかぎり機能を温存する努力をしています。MRIを設置した手術室もその一つ。術中に術野からは見えない範囲の異常を確認し、正常脳ギリギリまで病変部を切除することが可能になりました。脳内に電極や治療装置を挿入するといった緻密な操作を行うロボット手術システムも導入しています。また、外科的な治療に固執しないことも当科の特徴です。病態によっては、内科的な治療を提案することも。スタッフ全員が患者さんにとって最もメリットがある医療は何なのかを考え、診療を行っています。

顕微鏡下手術中。奥は手術室内に設置されたMRI。
顕微鏡下手術中。奥は手術室内に設置されたMRI。

低侵襲治療と高難度手術に強み[心臓血管外科]

田端 実 教授
1999年東京大学卒。米国ハーバード大学などを経て2021年より現職。

 当科で特に力を入れているのは、低侵襲治療と、高難度の手術です。

 体に負担が少ない低侵襲治療は、早期に社会復帰が可能な治療法としてニーズが高まっています。中でも、弁膜症や心房細動などの手術の際にごく小さな傷から内視鏡を使って心臓にアプローチする「内視鏡下MICS」は、当科が得意とする技術。術後の痛みも格段に少なく済み、平均5日間で退院しています。手術だけでなくTAVIやマイトラクリップといったカテーテル治療も行っており、低侵襲手術とカテーテル治療を組み合わせたハイブリッド治療にも取り組んでいます。

 高難度の手術としては、複雑な弁疾患にも人工弁ではなく、自己弁を温存して修復する弁形成術を行うなど、付加価値のある治療を提供しています。治療を成功に導くには、技術力の高い外科医はもちろんのこと、手術やリハビリ、フォローアップにかかわる多くのスタッフの協力が欠かせません。当院は強力なチームに加え、総合病院の強みもあり、高齢の方や基礎疾患を抱える方でも安心して治療を受けていただける環境を用意しています。

内視鏡下MICSの手術風景。
内視鏡下MICSの手術風景。

早発卵巣不全の新たな治療を開発[産科・婦人科]

河村 和弘 教授
1996年秋田大学卒。米国スタンフォード大学などを経て2022年より現職。

 当科は高い専門性を有する産科、婦人科、生殖の各部門が連携しながら医療を提供しています。

「不妊治療」は当科が得意とする分野の一つ。専門外来で不妊症の原因を検索し、年齢や原因に応じた最適な治療法を提案しています。近年、晩婚化にともなって増えているのが、卵子や卵巣の老化によって不妊になるケース。特に40歳以下で閉経してしまう早発卵巣不全の方は多く、これまでは他人からの卵子提供による体外受精以外に確立された治療法がありませんでした。

 その解決策として、腹腔鏡下で卵巣を摘出し、卵巣内にわずかに残った卵胞を体外で人為的に活性化させて移植する「卵胞活性化療法(IVA)」を開発。内視鏡下手術と生殖補助医療を組み合わせた高度な技術ですが、当院にはこうしたハイブリッドな治療を安全に提供できる最新の設備と、経験豊富な専門スタッフが揃っています。最新の研究で、卵胞活性化療法による妊娠率は約4割。本人の卵子での妊娠、分娩が可能な治療法として、大きな希望になっています。

IVAの国際共同研究:Kuwaitの病院でIVAの腹腔鏡下手術の指導。
IVAの国際共同研究:Kuwaitの病院でIVAの腹腔鏡下手術の指導。

【TOPICS(動画)】
「低侵襲手術のトップランナー 小児最先端外科医療の拠点 順天堂小児外科」山高篤行先生(順天堂医院 小児外科・小児泌尿生殖器外科)

 

【TOPICS(リンク)】
順天堂大学とIBM、メタバースを用いた医療サービス構築に向けての共同研究 ~順天堂医院の実物をオンライン空間で模した「順天堂バーチャルホスピタル」を起点にした新サービスの開発・提供を目指す~

INFORMATION

順天堂大学医学部附属 順天堂医院

〒113-8431  東京都文京区本郷3-1-3
TEL.03-3813-3111(大代表)
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/

この記事の掲載号

文春ムック スーパードクターに教わる最新治療2023

2022年11月14日発売 本体909円+税

この1冊で安心できる! 最前線で活躍する名医たちが、さまざまな病気の治療の最先端を紹介する

本誌掲載病院が無料で読めるページはこちら(PR)