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“空き家総数848万戸”の衝撃 築浅の家屋が空き家に…各地に残された「夢のマイホーム」の悲惨な光景

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genre : ニュース, 社会, ライフスタイル

日本の郊外には「タダ同然の住宅地」が大量にある。そうした「限界分譲地」の取材を続けているブロガーの吉川祐介さんは「限界分譲地には築20~30年の空き家が多い。まだ住める物件だが、利便性が悪く、空き家のママ放置されている」という――。

各地に残された「夢のマイホーム」の悲惨な光景

千葉県山武市横田の分譲地を取材で訪れた。藪の中に埋もれつつある空き家があった。よく見ると、竹藪の隣の区画にもう1棟、別の家屋の外壁らしきものが見える。

筆者撮影 竹林に埋もれた空き家。(千葉県山武市横田) - 筆者撮影

事前に航空写真で位置を確認していたのだが、それではわからないほど、空き家が濃い藪に飲み込まれていた奇妙な光景だった。

帰宅後、空き家の登記情報を取得して調べてみた。

築年は平成6年(1994年)となっている。築28年だ。まだ充分使用できる築年の家屋のはずだ。竹は生育の早い植物とはいえ、まっとうに住居として使用されていた期間は20年にも満たないのではないだろうか。

空き家は見慣れていたつもりだったが、あらためて当地の分譲地の荒廃ぶりに驚かされる。本来、財産であり、人生の目標でもあったはずのマイホームの無惨な光景は、まさに場当たり的な乱開発の象徴のように思われた。

成田市名古屋にある空き家は、かつては売りに出されていたこともあるらしく、敷地内には今も「売物件」の看板が転がったまま放置されていた。

現在この家屋は、壁の一部が崩落し、コンクリート敷の駐車場にまで雑木が生育している。2階の屋根ほどまでに達した雑木の背丈が、放置されてからの長い年月を伺わせる。希望価格で売れないまま時間ばかりが経過し、いつしか管理する意欲も失ってしまったのだろうか。

空き家総数848万戸の衝撃

「空き家問題」が取り沙汰されるようになって久しい。

特に2018年の総務省統計局「土地統計調査」で明らかになった空き家総数848万9千戸という数値は、大きな衝撃を持って受け止められた。

「空き家」の判定基準は曖昧で、建物の見た目の印象だけで判断していて集計方法が粗雑である、との指摘もある。