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期待高まる抗老化物質・NMN。密接に関係する「長寿遺伝子」の正体とは?

次世代成分、NMNがサポートする、「プロダクティブ・エイジング」

PR提供: 日清ファルマ

長患いせず、天寿を全うする「ピンピンコロリ」を実現できる時代が近づいてきた。抗老化物質として世界で注目を集めるNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)。世界的な抗老化研究の第一人者、ワシントン大学医学部発生生物学部門・医学部門の今井眞一郎教授に、NMNの可能性について聞いた。

「ピンコロ」は夢じゃない、抗老化物質NMNへの期待

「健康寿命」とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間だ。問題なのは、平均寿命から健康寿命を差し引いた期間。健康上に問題があって、自立した生活が送れず介護が必要な状態は、いったいどのくらい続くのだろうか。

 厚生労働省が発表した2019年の平均寿命と健康寿命との差は、男性8.73年、女性12.06年。3年ごとに実施される国民生活基礎調査を基に算出され、調査のたびに、この差の縮小傾向を確認できるという。でも、10年間程度は介護状態にあるというのだから、手放しでは喜べない。

 だからこそ、「いつまでも若々しく、元気に過ごしたい」「死の間際まで、ピンピンと健康で、コロリと逝きたい」という願いは切実だ。

 私たちが抱く、夢のような願いは、もはや叶えられる――。「アンチエイジング」を研究する世界では、もうその時代に入っているのだという。

 2016年、医学専門誌に発表された今井眞一郎教授らの研究は、世界を驚かせた。体内でビタミンB3からつくられる物質のNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)は、抗老化作用を示すことが実証されたのだ。

今井眞一郎教授
1964年東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒業、同大大学院修了。医学部生の頃から細胞の老化をテーマに研究。97年渡米、マサチューセッツ工科大学にて老化と寿命のメカニズムの研究を継続。2000年、サーチュインによる老化・寿命の制御を発見。01年からワシントン大学助教授、08年准教授、13年から現職。
今井眞一郎教授
1964年東京生まれ。慶應義塾大学医学部卒業、同大大学院修了。医学部生の頃から細胞の老化をテーマに研究。97年渡米、マサチューセッツ工科大学にて老化と寿命のメカニズムの研究を継続。2000年、サーチュインによる老化・寿命の制御を発見。01年からワシントン大学助教授、08年准教授、13年から現職。

 人間の20代に相当する5カ月齢のマウスに、NMNを1年間飲用させた。結果、人間の60代に相当する17カ月齢のマウスは、飲用しなかった群と比較して、肥満はなく活発に動き回り、網膜の細胞、骨密度、免疫細胞が保たれるなど、顕著な抗老化効果が確認されたのである。

マウスでのNMNの抗老化作用
出典:Mills, K. et al.(2016)Long-Term Administration of Nicotinamide Mononucleotide Mitigates Age-Associated Physiological Decline in Mice. Cell Metabolism 24 (6) 一部改変
マウスでのNMNの抗老化作用
出典:Mills, K. et al.(2016)Long-Term Administration of Nicotinamide Mononucleotide Mitigates Age-Associated Physiological Decline in Mice. Cell Metabolism 24 (6) 一部改変

「長寿遺伝子」の正体

「生命維持のためのエネルギー代謝には、NMNから合成される補酵素NAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)が不可欠です。また、NADの合成が促進されると、サーチュインと呼ばれる、老化や寿命を制御する酵素の活性化につながると考えられます。

 哺乳類にはSIRT1(サーティワン)から7まで7種類あり、糖や脂肪の代謝を改善したり神経細胞を守り活性化する働きがあるとされるSIRT1が老化や寿命を制御するとして重視されており、この遺伝子は日本では一般に『長寿遺伝子』と呼ばれています。

 ところが、NAD量は加齢とともに減少し、50代では20代に比べて半減するとされています。私たちは、NAD量の減少により、さまざまな臓器の機能が低下し、老化に関連する疾患を引き起こすことも突き止めています。

 つまり、NAD量を増やせば、老化関連疾患を予防できるとみています。ただ、NADをそのまま摂取しても吸収されないので、NADが体内で合成される前のNMNの摂取によって、加齢に伴って起こる疾患に、非常に顕著な改善作用が現れたと考えています」

健康寿命と平均寿命の差

 今井教授らは、先の実験の以前に、マウスの脳の視床下部でSIRT1をたくさん発現させた特別なマウスで、寿命をみるための実験を行っている。その結果、メスは中間寿命が約16%、オスは約9%も延びた。中間寿命は、健康である期間を示すもので、ヒトの健康寿命といえるものだ。ヒトに換算するとメスで13、14年、オスで7、8年に相当する健康寿命が延びたことになる。老化や寿命を制御する酵素サーチュインの活性は非常に重要であることが分かる。

 長生きはしたいけれど、不健康で自立していない期間が長引くのを私たちは恐れている。まさに健康寿命と平均寿命の差が小さければ小さいほど、ピンピンコロリの人生に近づくのだ。

NMNの合成
NMNの合成

 サーチュインの働きを促進させるのに必要なNADの合成に至るには、NAMPT(ニコチンアミド・ホスホリボシルトランスフェラーゼ)と呼ばれる酵素も重要。NAMPTによってNMNが合成され、それにNMNATという二番目の酵素が働いて、NAD合成が完了し、老化制御に関わるサーチュインが活性化される。

 SIRT1の活性化を上げるには、NMNを合成するのに必要なNAMPTが重要だということを、今井教授らの研究グループは突き止めている。NAMPTは加齢により減少するので、この酵素についても、今井教授らは注目している。

「生物の活動は、ほぼ24時間周期で変動することが多く、概日リズム(サーカディアンリズム)と呼んでいます。NAMPTや、NAMPTによってできるNADの量も、サーカディアンリズムに従って変動していることが分かりました。つまり、NADの変動に従って、サーチュインのような重要な酵素の機能も変動し、さらにそれらによって制御されているさまざまな臓器の機能もリズムを持って変動すると予測されます。

 ヒトの場合、活動期は日中なので昼に高くなり、夜に下がります。加齢によってNAD量は総体的に減りますが、一日の周期で見ても、振幅の幅が加齢とともに小さくなる。そこで、NAD量が高くなる活動期に、NADを合成するNMNを追加することで、振幅の幅が大きい若い頃の状態に近づけると考えています」

食生活から老化を防ぐ

 まずは、睡眠、食事、運動によってメリハリのあるサーカディアンリズムを保って、NAMPTやNADの量の振幅を維持することが大切になる。今井教授から、日常生活でのアドバイスをいただいた。

「私の食生活を例に挙げると、活動期の初めの朝食は、3食のうちカロリーもボリュームも一番高いんです。朝からステーキや魚料理、スープやみそ汁、野菜、デザートまでしっかり食べ、夕食はチーズやハム、フルーツやナッツを少し、ワインを1、2杯とともにくつろぎながら食べています。そうすると、夜も深く眠れて、朝はお腹が空いて早く目覚めることができますよ。

 夜遅くに食事して、寝る前のスマホやパソコンのブルーライトを浴びるのは、サーカディアンリズムを崩す原因ですから、なるべく避けた方がいいですね。

 運動はスポーツ選手のように激しいものではなく、20~30分程度の散歩でかまいません。目新しいアドバイスではなく、ごく当たり前のことですが、こういった規則正しい日常生活が、体内で老化や寿命を制御する機能に影響を及ぼすことを考えると、けっして疎かにはできません」

 抗老化物質として注目のNMNは、植物の種子や実により多く含まれ、とくに野菜や果物の枝豆、ブロッコリ、アボカドなどに多いといわれている。といっても、残念ながら微量だ。

NMNが含まれる食品。さまざまな食材を購入し、NMNの含有量を調べた結果(食品100gあたり<mg>)
​出典:Mills, K. et al.(2016)Long-Term Administration of Nicotinamide Mononucleotide Mitigates Age-Associated Physiological Decline in Mice. Cell Metabolism 24 (6) 一部改変
NMNが含まれる食品。さまざまな食材を購入し、NMNの含有量を調べた結果(食品100gあたり<mg>)
​出典:Mills, K. et al.(2016)Long-Term Administration of Nicotinamide Mononucleotide Mitigates Age-Associated Physiological Decline in Mice. Cell Metabolism 24 (6) 一部改変

ヒトへの確かな効果を確認する臨床研究の段階へ

 加齢により体内のNAD量が減るからといって、NMNを含む食品だけで、老化や寿命を改善させる量を補うのは、ほぼ不可能。だからこそ、体内でNADに変換されるNMNに注目が集まっているのだ。今井教授らの2016年の研究発表以降、世界各国でNMN研究が加速し、アルツハイマー型認知症や血管機能への効果も確認されている。

2型糖尿病モデルマウスへのNMNの効果
糖負荷を行った時に、血糖値を下げる能力(耐糖能)が、高脂肪食によって2型糖尿病を起こしたマウスでは著しく悪くなっているが、NMNの投与によって顕著に改善した。特にメスのマウス(上)で、オス(下)よりも劇的な効果が得られた。
​出典:Yoshino, J. et al.(2011) Nicotinamide Mononucleotide, a Key NAD+ Intermediate, Treats the Pathophysiology of Diet- and Age-Induced Diabetes in Mice. Cell Metabolism 14 (4) 。一部改変)
2型糖尿病モデルマウスへのNMNの効果
糖負荷を行った時に、血糖値を下げる能力(耐糖能)が、高脂肪食によって2型糖尿病を起こしたマウスでは著しく悪くなっているが、NMNの投与によって顕著に改善した。特にメスのマウス(上)で、オス(下)よりも劇的な効果が得られた。
​出典:Yoshino, J. et al.(2011) Nicotinamide Mononucleotide, a Key NAD+ Intermediate, Treats the Pathophysiology of Diet- and Age-Induced Diabetes in Mice. Cell Metabolism 14 (4) 。一部改変)

 さらに、動物実験で実証されたNMNの抗老化作用は、ヒトへの臨床研究の段階に進んだ。今井教授らが2021年4月に発表した第一次臨床試験では、糖尿病予備軍で閉経後の女性に、NMNを10週間投与。すると、骨格筋のインスリン感受性(働き方)を示す指標が25%上昇。これは体重を10%落とした時のインスリン感受性の改善に匹敵する。しかし脂肪や肝臓でのインスリン改善や、血糖値の変化も認められなかったので、さらなる研究が必要だ。2020年からは、男性を含めた大規模臨床試験を実施中で、これはアメリカ国防総省の研究費によってサポートされている、まさに国家を挙げての抗老化研究である。

 NMNの効率的な摂取を目的に、カプセル状のサプリメントの開発など、社会実装の研究も世界各国で活発に行われている。

 医学部生の頃から、細胞の老化と不死化に興味を持ち、研究に没頭してきた今井教授は次のように話す。

「私たちが追究するのは、不老不死や若返りの物質ではありません。最期まで健康で豊かな人生を送り、その英知を若い世代へ渡す、プロダクティブ(生産的)になれる老化、『プロダクティブ・エイジング』をサポートしたいと考えています」
 

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日清製粉グループ 日清ファルマ
100年以上にわたる栄養研究の先に

日清製粉グループが誕生したのは、今から100年以上も前。まだ日本で健康食品が一般的ではなかった時代に、いち早く小麦の栄養研究を開始した。やがてビタミンの研究へと発展し、1967年には世界で初めてコエンザイムQ10の量産化に成功。「多くの方にずっと若々しく健やかに過ごしてほしい」。そんな想いを胸に、今も社会を先取りする視点と長年にわたる研究力で、「健康実感パートナー」としてあらゆる世代の健やかな人生を支え続けている。また、すべての商品は日清製粉グループ独自の品質保証体制の下で、原料の仕入れから製造にいたるまでの全工程を厳しく管理しており、お客様に安心・安全な製品を届けている。

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