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中日ー巨人戦のボールが…審判が試合球を転売 なぜ“犯人”を特定できたのか

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 プロ野球の審判員を務める50代の男性Aが公式試合球を持ち出した疑いがあるとして、愛知県警は11月2日、兵庫県内の自宅を窃盗容疑で家宅捜索した。

「今年6月中旬のバンテリンドームで行われた中日主催の巨人戦の試合球が、未開封のままインターネットで売買されているという情報が、ファンから中日に寄せられた。そこで球団は証拠品として一つを落札して確認を進め、7月、愛知県警に被害届を提出していた」(スポーツ紙デスク)

 Aは通算2000試合も達成したベテラン審判員だった。

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「日本シリーズや球宴に何度も出場。選手会が行っている『選手が選ぶ!ベストアンパイア』に選ばれたこともある実力派」(同前)

事件はバンテリンドームで起きた

 これまでも、試合球がオークションサイトに出品された例は多数あるが、今回はいつもとは違った。

「ボールはホームの球団が、メーカーから購入して準備する。試合当日、一つずつ包装されたボールを審判員が控室で100球以上全て状態を確認しながら開封する。つまり“未開封”ボールを流出させられる人物は自ずと限られる」(同前)

 コロナ禍を反映した審判員のスケジュールも、犯人像を絞り込む材料となった。社会部記者が語る。

「感染対策のため、予備審判員を含めて1クルー5人で1年間、同じ面々で各地を転々としている。誰かが感染した場合、濃厚接触者を絞りやすいためです。ボールの個数は球団が把握しているが、数が足りなくなった試合はAが入っているクルーの時でした。別の試合でも控室の備品が無くなっていたことがあったという。さらに他球団からも『備品が無くなったことがある』との情報が寄せられた」