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 そんな多忙を極める村田さんが楽しみにしていたのは、行きつけだった中華料理店での食事だったようだ。同店の店長は突然の悲報に声を曇らせて村田さんとの思い出を語った。

「村田さんは現役のころから月に1回くらいのペースで来店いただいていました。新聞社の方と一緒にいらっしゃることもあれば、ご自宅用に料理をお持ち帰りすることもありました。お肉料理がお好きなようで、特に麻婆豆腐は毎回のように注文されていましたよ。現役時代は奥様から毎週日曜日のチケットを頂いて、川崎の球場まで応援しに行っていました」

焼けた村田さんの家の周りは物々しい雰囲気 ©文藝春秋

 しかし、引退後の生活は順風満帆というわけにはいかなかった。今年9月に羽田空港で職員の女性に暴行を加えたとして村田さんは逮捕されてしまう。これを受けて村田さんは選考委員に選出されていた沢村賞の選考会を辞退している。高齢男性の横暴さを表した事件として大きな批判を浴びたが、前出の中華料理店店主は普段の村田さんからは想像がつかないと語る。

「村田さんは家族のことを話さなかったり、泣き言は一切言わなかったり、確かに昭和生まれの明治男といったところはありました。ただ、私たちと話す時も穏やかで優しい人という印象で女子どもに手を出す性格には見えませんでした。だからこそ、逮捕されたと聞いた時は正直信じられませんでした。あの事件のあと、村田さんは相当ショックだったようで自宅に引きこもりがちだったようです」

「お互い年を取ったから、元気をつけて頑張りましょうよ」

 羽田で暴行事件を起こしてしまった後、村田さんが再び店を訪れることは無かった。店主も気が引けて連絡をすることができなかったという。

「村田さんが最後にお店を訪れたのは羽田空港の事件を起こす直前でした。私と村田さんは同じ団塊世代で年も近いんです。そういうこともあって、仲良くさせていただいていたんですが、料理を取りにいらした際に、『お互い年を取ったから、元気をつけて頑張りましょうよ』と声をかけていただいたのを今でも覚えています。今回の訃報は本当に信じられない思いです……」

 突然すぎる昭和の名選手の悲劇に球界の内外を問わず悲しみの声が広がっている。警視庁は火事の原因について捜査を続けている。

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