もちろん、経費として消費税を払っているので、1000円まるごと儲けにはなりませんが、お得なのは間違いありません。
消費税が3%の時代、この益税はあまり問題視されていませんでした。しかし、消費税が10%になると、益税の額が多すぎると問題になったのです。
国は消費税を12%、15%、20%と、今後消費税をさらに上げていく予定です。益税が20%にもなると、かなり不公平感が出てくるわけです。
そのため、国はインボイス制度の導入によって、この益税をなくしたいと思っているのです。
事業者にはデメリットばかり
インボイス制度のメリットとして、消費税額を正確に計算できる点が挙げられます。
「インボイス」には税率が明記されるので、消費税が8%か10%か、区別することが容易になり、事務処理の負担が軽減されます。
2つ目のメリットは、IT導入補助金です。
インボイス制度の導入で、事業者はシステム投資が必要になります。その分国が補助金を出してくれるわけです。
一方、インボイス制度のデメリットはたくさんあります。
まず、請求書のフォーマット変更が必要になります。
登録番号の記載のほか、実は計算方式も微妙に変わるので、請求システム自体も変更が必要です。
また、請求書に間違いがあった場合、これまでなら簡単に修正できましたが、今後は「修正適格請求書」を発行する必要があります。
そして、最大のデメリットが、インボイスの未登録事業者に対して「今後はインボイス制度に登録してください」とお願いしたり、調整する必要があることで、これがいま各会社の経理部の悩みの種となっています。
未登録事業者から買うと損になってしまう
なぜ、インボイスの未登録事業者に対して、登録を依頼する必要があるのでしょうか。
先ほどの消費税の仕組みを思い出してください。
もらった消費税1000円から、払った消費税200円を引いた800円を納めるのが消費税の仕組みですが、インボイス制度の導入後は、「消費税を支払った証拠」として「インボイス」をもらう必要があります。