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章寛は逮捕された後、家族にあて、手紙を送っていた。

俺、本当にバカなことをしたと毎日後悔しよる。本当にごめんなさい。義母と生活していなければ、こんなことになってなかったかもしれん。義母は自分に都合のいいようにしかせんかった。とても気分屋でわがままやった。俺でも、そんな義母とうまくやっていこうと頑張ろうとしたんだよ。でも宮崎の家には、俺の居場所はなかった。家に帰ってもゆっくりできないし、ストレスがたまるだけやった。仕事に行ってるほうが幸せやった。

義母から毎日のようになじられ、俺の親の文句を言われ続けてきた。お父さんとお母さんは、俺らのためにいろいろしてくれたのに、感謝のかけらもなかった。真美も義母に流され、俺の味方をしてくれんかった。毎日が苦しくて、とても悔しかった。本当に地獄やった。でも、3人を殺していい理由にはならないと警察に捕まってから気付いたんだ。弁護士さんに相談に行けばよかった。もうでも遅かった。

俺は義母と一緒に生活するのはいややし、もっと自由に生きたいという理由で3人を殺害してしまった。でも警察に捕まって、全部しゃべったら、すごい楽になった。体調はとてもいいから。心配しなくても大丈夫やから。ましてや自殺なんかしないから。しっかり、裁判に出るつもりやから。俺はどんな刑でも受け入れるつもりやから。覚悟はできとる。

タイムマシンがあればちょっと前に戻って、真美と息子と3人で暮らしたい。3人で仲良く暮らしたい。俺はもうみんなに迷惑をかけないようにしようと思ったけど結局ダメやった。最後はとんだ迷惑をかけるはめになってしまった。本当にごめんなさい。

「自由に生きたかった」という表現が凶悪性を印象付けてしまった

「口蹄疫より先に、宮崎を震撼(しんかん)させた事件」と呼ばれた宮崎家族3人殺害事件の奥本章寛被告の裁判は、逮捕から約半年後という異例のスピードで開廷され、たった6回の公判で死刑判決が下された。