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突破口となりうるのは「沖宗」の印鑑

そして最後に、「沖宗」の印鑑だ。この姓の謎については、警察は広島県・広島市への問い合わせをしているのみで、探偵は全く手をつけていない。突破口があるとしたら、おそらくここだろう。珍しい姓なのだから、地域の印鑑業者を回ることも有効そうだ。

「沖宗」姓の人物を電話帳から全部拾って、電話することも面倒だが不可能ではない。ただその場合、相手に不審がられて嘘をつかれたり、取材拒否にあったりしたら元も子もない。電話では嘘をつかれているかどうかよくわからないし、一方的に通話を切られたらそれまでなのだ。まずは何らかの方法である程度、女性との血縁関係がありそうな人物を絞り込んでいき、直接取材を敢行する必要があるだろう。

警察署、市役所、弁護士、家庭裁判所、そして探偵。多くの人の手を経て、なお身元が判明しない「田中千津子」さん。調査者の末席に私たち記者も加わることになった。

参考記事:47NEWS「現金3400万円を残して孤独死した身元不明の女性、一体誰なのか(前編) 『行旅死亡人』のミステリーを追う

武田 惇志(たけだ・あつし)
共同通信社記者
1990年生まれ、名古屋市出身。京都大学大学院人間・環境学研究科修了。2015年、共同通信社に入社。横浜支局、徳島支局を経て2018年より大阪社会部。
伊藤 亜衣(いとう・あい)
共同通信社記者
1990年生まれ、名古屋市出身。早稲田大学大学院政治学研究科修了。2016年、共同通信社に入社。青森支局を経て2018年より大阪社会部。

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