キズモノではないのに“瑕疵物件”になるのはなぜ?
しかし、こうした“キズモノ”ではないのに、ワケあり物件に認定されることもある。前述のように夫婦で共同所有だったためにトラブルになった家や土地もそうだ。これらはいわば「第5の瑕疵物件」といってもいい。
このワケあり物件=第5の瑕疵物件を国内全域で扱う不動産会社、ネクスウィル(東京都港区)の社長・丸岡智幸氏はこう話す。
「夫婦共働きでローンを返済する以外に、妻や妻の親が住宅購入のための頭金を出したなど、夫婦や親族間で共有名義にするケースが増加しています。そして離婚となったとき、一方は売りたいのに、もう一方は売りたくないと決裂した場合にトラブルは起こります。なぜなら、自分の共有部分だけ売ることは可能ですが、それを買い取る不動産会社は少ないからです。ならばどうしたらいいか、という相談が最近多いと顧問弁護士から聞きました。これはビジネスチャンスであり、社会貢献にもなると考えて、ワケあり物件の売買を2019年からスタートしました。私どものような規模の不動産会社は大手と同じことをやっていても勝ち目はありません。ワケあり物件は取り扱いが煩雑なので大手はやらないですが、必ずニーズはありますから。といっても、最初は本当にそんなに相談があるのかと半信半疑でしたが、思ったより件数が多くて驚いています」
2組の夫婦のドロドロの実話トラブル
具体的にはどういった相談があるのか。ネクスウィルに相談があったA男さん(50代)の場合を見ていこう(個人情報を一部加工している)。
A男さんは妻のB子さんと離婚。家は夫婦共有名義だったが、離婚後も子供が成人するまでB子さんが住み続けることを認めた。数年後、子供が成人し、B子さんは再婚してその夫も同居するように。それを知ったA男さんは「自分が所有する部分をB子に売って清算したい」と希望。しかしB子さんは支払い能力がないと買い取りを拒否し、その後、音信不通に……。