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source : 提携メディア

※出典:日経電子版 2019年8月2日付「所有者不明地 国土の2割に?

「繰り返しになりますが、揉め事になりそうな共有物件は、離婚した時、あるいは親から相続した時に時間をおかずにスパッと清算するのが一番いいと思います。解決すべき問題を棚上げにして放置すればするほど、事情が深刻化し、売買がしにくくなる。病気と一緒で、早いうちに手を施すべきだと思います」

しかも、ワケあり物件を仲介する不動産会社の中には、所有者が困っていることをいいことに、上から目線で買い叩く業者もいるとか。高すぎず、安すぎず適正価格で売買する不動産会社を選ぶべきだと、丸岡氏は断言する。

ワケあり物件マッチングサイト、自治体と空き家を繋ぐサービスもあり

しかし、よく知らない不動産会社にアプローチするのは不安だという人もいるだろう。その場合は、売買だけでなく、貸し借りや物件の管理運営の依頼と希望者をつなぐマッチングサイトに登録する方法もある。購入するのは無理でも、古い空き家をリノベーションして住みたいという若者が増えているからだ。

ネクスウィルでも「URI・KAI」というサイトを運営。当事者同士が直に繋がることで、仲介手数料を省くメリットをユーザーは享受できる。

また、自治体、地域、事業者、空き家所有者を繋ぐクラウドサービスを展開している空き家活用(東京都港区)に登録すると、所有する空き家に対してあらゆる相談が可能だ(基本相談は全て無料)。

さらに2022年11月には大手保険会社と提携して「空き家いったんあんしん保険サービス」を付帯するサービスもスタート。1年間保険料は無料で、不動産会社の情報に掲載される前の物件と、所有者自身にも賠償責任保険が適用される。

ワケあり物件や空き家に関するトラブルに、誰もが巻き込まれる可能性がある。これは決して対岸の火事ではない。

しかし「自分が損するのが悔しい」「親が苦労して建てた家を見捨てるわけにはいかない」という感情に押し流されてしまってはかえって損になることがある。無用な争いに時間やお金を費やし、不幸な結果に終わってしまうのは避けたいものだ。

東野 りか フリーランスライター・エディター
ファッション系出版社、教育系出版事業会社の編集者を経て、フリーに。以降、国内外の旅、地方活性と起業などを中心に雑誌やウェブで執筆。生涯をかけて追いたいテーマは「あらゆる宗教の建築物」「エリザベス女王」。編集・ライターの傍ら、気まぐれ営業のスナックも開催し、人々の声に耳を傾けている。

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